詩音ママとの交渉、東雲家の家訓とは
◆準備
光と別れたあと。
詩音はただ胸の鼓動に突き動かされるまま、彼の名前を検索していただけでは終わらなかった。
その夜から、徹底的に調べはじめた。
動画の再生数の推移、海外からのコメント率、配信頻度、ファンコミュニティの規模。
サブスクリプションの収益予測、スポンサー契約の動向、記事に掲載された評価。
そこに加えて、彼自身の希少性も見逃せなかった。
男性アーティストというだけで極めて稀少であり、存在そのものに注目が集まること。
しかも彼は受け身ではなく、自ら「全国ツアーをしたい」と語るほどのバイタリティを内に秘めていること。
さらに――東雲家の資金さえあれば、そのリスクを極限まで減らし、成功の確率を大きく高められること。
――彼の活動は「一時的な流行」ではなく、まさに爆発的な成長を続ける曲線を描いている。
それを、自分の言葉で示せるように。
詩音はデータを表に整理し、グラフにまとめ、ノートに要点を箇条書きした。
母に示すのは感情ではなく、数字と論理。
娘として、東雲家の名を背負う者として――その準備を整えた。
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◆母との対話
翌日、詩音は資料を手に母の前に座った。
東雲家の当主であり、娘にお金の本質を叩き込んできた女性。
「母さま。……お話ししたいことがあります」
詩音は光について調べ上げたデータを一つひとつ示しながら説明していった。
再生数、ファンの熱量、海外での伸び、そして「全国ツアー」という本人の夢。
母は黙って資料をめくり、最後まで聞き終えてからゆっくりと口を開いた。
「――数字はわかりました。たしかにある程度の将来性があることは認めます」
詩音は息を詰め、続きを待った。
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◆問われたもの
母の声が鋭さを増す。
「ですが、とても強い逆風が吹くでしょう。
“男性が表に出る”という、この社会でなお危うい挑戦です。
そこに東雲家の娘として投資をする――その意味が分かっていますか」
静かな部屋に、重い言葉が落ちた。
「詩音。あなたは本当に、この少年に賭けるつもりなのですか」
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◆決意
詩音は強く胸に抱えてきた資料を見下ろし、そして顔を上げた。
「はい。彼は……光さんは、きっと世界を変える人です。
私はその力を信じています」
母の目を真っ直ぐに見据え、はっきりと告げる。
「逆風に立ち向かう覚悟もあります。
その中で必ず結果を出し、プラスを残します。
それが“東雲家の娘”としての責任だと分かっています」
言葉を吐き出すようにして、詩音は自分の決意を示した。
母はしばし沈黙し、やがて静かに微笑んだ。
「――いいでしょう。東雲家の家訓を忘れてはいけません。
“自分の望むように世界を変えて、なおかつ利益もきちんと出す。”
あなたの望むように世界を歪められるか、試してみなさい」
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ナレーション
「――東雲詩音は、この時初めて“自分の意思でお金を動かす”と決意した。
母から託された家訓を胸に、彼女は光の夢に投資する覚悟を固めたのだった」
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そして初コメもいただいちゃいました。
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【後書きという名の言い訳】
都合いいキャラ出てきたな...って、思ったでしょ?
でも、光が
・以前から積極的&継続的に音楽活動している
・ちゃんと結構な額を稼いでいる
・この世界初の男性全国ツアーを語っているので投資対象として魅力的(投資したら増えて返ってきそう)
という理性的に前に進める要素を兼ね備えていて、
かつ
・異世界の価値観
という爆弾が胸に突き刺さったため、こういう展開になっています。
どれかが欠けていたらこの展開にはならないですね。(という言い訳....




