日常化する依存
◆雪がいる毎日
朝。
カーテンを静かに開け、雪は布団を覗き込んだ。
「……光、起きて。もう時間」
光が目をこすりながら顔を出す。
「んー……雪の声で起きるの、もう習慣になってきた」
雪は一瞬、目を伏せて小さく笑った。
「……そう」
昼。
ピアノに没頭する光の後ろにそっと近づく。
「……休憩。お茶、置いとくね」
光は振り返って受け取り、にこっと笑う。
「ありがと。雪が言わなきゃ、俺ほんとに夜まで気づかない」
雪は目線を外しながら、心の中で呟いた。
(……言うのが私の役目、でしょ)
夕方。
「……ご飯できた。冷めないうちに」
光は「はーい」と返事して駆けてくる。
雪は静かにその背中を見つめて、(……夫婦っぽいとか思ってる私、ちょっとバカみたい)と頬を赤らめた。
夜。
「……もうすぐ20時。配信の準備して」
光はくるりと椅子を回して笑う。
「はいはい、分かってます雪先生」
「……先生じゃない」
小声で返し、雪の耳は赤く染まった。
――一日のすべてが、雪の声で回り出す。
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◆ファンの実況
『最近ほんと時間どおりに始まるようになったよね』
『雪ちゃん監督すぎるw』
『お茶の音とか小声、たまにマイク拾ってて尊い』
『もう二人セットで活動してるな』
『はいはい、雪ちゃんのおかげw』
『正直、雪ちゃんいなかったら光くん詰むでしょ』
嫉妬ではなく、“安心セット”として受け入れられる空気が広がっていた。
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◆学校での空気
教室でも同じだった。
「昨日の配信見た? 雪の声、また拾ってたよね」
「完全に支えてるじゃん。そりゃ公式で“サポーター”って言われても納得するわ」
「地味って思ってたけど、雰囲気変わってた」
「光くん元気そうだし……たしかに必要なんでしょうね」
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◆マリ姐の視点
そんな二人のやり取りを横で見ながら、マリ姐は思わず口にした。
「……あんたたち、それでいいの……?」
光はキョトンと首を傾げ、本当に分かっていない様子で答えた。
「え、なにが?」
雪も当然のように小さく言った。
「……特に変わったことしてないですよね...?前からずっとこんな感じですけど。」
まるでそれが一番自然なことのように。
マリ姐は額に手を当て、深くため息をついた。
(……完全に依存関係。でも二人は“普通のこと”だと思ってる……!)
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◆ナレーション
「――“光は雪がいなければ活動できない”。
そんな日常が、ごく当たり前のものとして定着していた。
ファンもクラスも“それでこそ光”と受け入れていく中で、
唯一、外から危うさを感じているのはマリ姐だけだった。
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わかりやすさ&キャラ付けの関係で、翻訳者の名前を「黒川 理音」→「黒川 遥」に変更しますm(_ _)m
もし「理音」がどこか残っていたら教えていただけると助かります。




