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ずっと隣で支えてくれ(雑

◆からかわれる雪


昼休みの教室。

雪は机に突っ伏すようにして弁当をつついていた。

その耳に、クスクス笑う声が刺さる。


「コバンザメみたい」

「ヒモして恥ずかしくないの?」

「地味なのに、なんであんな目立つ男の子の隣にいられるの」


同級生の女子たちが、嫉妬と羨望の混じった目で雪を見ている。

雪はうつむいたまま、箸を止めた。


(……私なんかが光の隣にいるのはおかしいのかな。

派手でも可愛くもないし。

ただの“ヒモ”って思われてるだけ……)


放課後になっても、そのざらつきは消えなかった。

帰宅後、光の前でもどこか元気がなく、黙り込んでしまう。



◆光の即決


「雪、どうしたの?」

いつもと違う彼女に気づいた光が首を傾げる。


雪はかすかに笑おうとしたが、言葉が出ない。

「……学校で、ちょっと言われて」


「そんな顔するくらいなら学校なんか行かなくていい」

光は即答した。真剣な目で。


「俺が雪を養うよ」


「えっ……」


光はさらに言葉を続けた。

「マリ姐、俺、それくらいのお金はあるよね?」



◆制度の説明


マリ姐は少し驚き、頷いた。


「ええ、十分にあります。ですが、正式には“特定男性サポート制度”というものがありまして――」


雪と光が揃って首を傾げると、マリ姐は丁寧に説明した。


「これは、一生涯“特定の男性をサポートする”と登録する制度です。

登録すると国から最低限の生活を保障する給付金が支給されます。

ただし、サポーターは他の仕事に就くことは許されず、その男性の生活に専念することになります」


雪は小さな声で呟く。

「……やっぱり、ヒモってことなのかな」


マリ姐はきっぱりと否定した。


「雪さん、それは全く違います。

この半年で理解しましたが、光さんにはまともな生活能力がありません。

スケジュール管理、食事、身の回りの世話――すべてあなたが支えてきたからこそ、活動が続けられているのです。


むしろ専属で雪さんがついてくださる方が安心です。

それに、国からの給付金に加えて、私が管理している光さんの収益からも適切なお給料を正式にお支払いします」


雪は目を見開き、言葉を失った。


光はにこにこと笑って即決した。

「じゃあ安心だね。それで行こう。雪、ずっと隣で支えてくれ。」


雪(え、ええっ!? これって……逆プロポーズ!?)


マリ姐(……絶対深く考えてない。でも、これで雪さんの立場も正式に保障される)



◆マリ姐の改造計画


「光さん、少し雪さんの見た目にお金を使わせてください」


「いいよ〜」

色々決まって興味を失ったのか、ピアノを弾きながら、こちらを見もせずに光が答える。


「……なら雪さん、ちょっとこちらへ」

マリ姐が真剣な眼差しで呼び寄せ、そのまま外へ連れ出した。


◆丸一日の改造コース

•美容院で長年伸ばしただけの髪を整え、軽く巻いて動きを出す。

•エステで肌を整え、血色を取り戻す。

•デパートで体型に合わせたシンプルで上質な服をコーディネート。

•ナチュラルメイクで地味さを脱ぎ捨て、柔らかな雰囲気に仕上げる。


雪は終始おろおろしていた。

「え、光のお金……?」


マリ姐は即答した。

「必要経費です」



◆チーム光の前に


夕方。改造された雪がスタジオに戻ってきた。


髪は軽く整えただけ、服もシンプル。

けれど雰囲気はガラリと変わっていた。


黒川は思わず目を丸くし、拍手した。

「わぁ……すごい……! まるで別人みたい。雪ちゃん、本当に素敵です」


そこへ光の母も顔を出す。

「なになに、楽しそうなことやってるわね……まぁ、とっても可愛くなって!」

嬉しそうに目を細め、雪の手を握った。


光はしばらくじっと雪を見つめたあと、真顔で口を開いた。

「……めっちゃかわいいんだけど。ほんとにかわいいんだけど……ドキドキするから、いつものがいいな」


雪は一瞬ぽかんとしたあと、顔を真っ赤にして下を向いた。

「……だよね」


黒川と光の母は同時にため息をつき、苦笑交じりに言った。

「……この二人、ほんとどうしたらいいのかしら」



◆ナレーション


「――光の金で丸一日かけて改造された雪。

だが最後に『いつものがいい』と言い切った光の言葉で、雪は救われた。

派手に飾らなくても、素の自分を望んでくれる人がいる――

その確信が、翌日の逆転劇へとつながっていく」

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