カオスを潰す女
◆ファンへの紹介と炎上
ある日の配信冒頭。
光はにこにことカメラに向かって言った。
「俺のマネージャーになったマリ姐だよ!」
その瞬間、コメント欄は爆発した。
『え、女!?』
『隣に座ってるのズルい』
『光くんを管理する女とか許せん!』
光は気にした様子もなく、さらりと続けた。
「そういえば、サブスク全部やってくれたのマリ姐だよ!」
コメント欄が一瞬固まり、それから雪崩を打つように流れ始める。
『それは神』
『え、ありがとう……!』
『たしかに光くん自分で出来なそうw』
『公式に音源聴けるの本当に助かってる』
嫉妬のトーンは少し和らぎ、視聴者の空気に感謝が混じった。
だが完全に信頼を得るには、まだやることが山積みだった。
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◆資金投入と外部整備
「得た収益の一部、もろもろの整備や整理に使っていいですか?」
マリ姐が恐る恐る切り出すと、光はストローをくるくる回しながら答えた。
「いいよ、任せる〜。てかお金も全部任せるよ。これまでそれ無しでも別に困らなかったし」
「たしかに」
雪が素直に頷いた。
「……あなたたちねぇ!!」
マリ姐は思わず声を荒げた。
内心で胃を押さえながらも、すぐに外部の専門業者に連絡。
公式サイトの立ち上げ、データ整理、チャンネル再編――資金を梃子に、超スピードで整備を進めていった。
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◆未投稿曲の公開
最初に手をつけたのは光のPCに眠る「未投稿曲の山」だった。
数百本単位で積み上がる音源ファイル。開けばどれも完成度が高く、即日公開してもおかしくないものばかり。
「……こんな宝を眠らせていたなんて、暴挙としか言えない」
外部スタッフと連携して日付順に整理、メモを付与し、公式アカウントから少しずつ公開。
最初の週だけで十数曲が解禁された。
ファンは大興奮だった。
『未発表曲が毎日公開されるとか夢?』
『まだこんなに隠してたの!?』
『マリ姐ありがとう!』
→タグ誕生 「#マリ姐ありがとう」
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◆公式サイトの整備
次に着手したのは公式サイト。
スマホ対応でシンプル、迷わない作りに刷新された。
目玉は二つ。
一つ目は「楽譜アーカイブ」。
動画と譜面を1対1で対応させ、誰でも迷わず練習できる形に整えた。
「今まで通り、楽譜は無料公開でいいの?」とマリ姐が確認すると、光は即答した。
「うん?むしろ無料がいいんじゃない。ファンも喜ぶし、弾いてくれる人も増える。
一人でも多くの人に音楽が届く気がするんだ」
公開直後、SNSは大歓声。
『動画と譜面が対応してる!』『迷宮が地図付きになった!』
『マリ姐ほんと救世主!』
→タグ誕生 「#マリ姐ほんと救世主」
もう一つの目玉は「光の観察日記」。
マリ姐が裏側を記録するコーナーで、タイトルは光が適当に提案したものだった。
「俺、動物みたいに観察されてる感じで面白いじゃん」
「動物じゃありません!」
配信でその存在が紹介されると、コメント欄がざわついた。
『裏側ってどんなの?』
『マリ姐目線の光とか絶対おもしろいでしょ』
『楽しみすぎるんだが』
SNSにも早速「#観察日記まだか」のタグが生まれ、
「光の活動の裏側を知れるかもしれない」という期待感が膨らんでいった。
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◆チャンネル分離とアーカイブ保存
ピアノ演奏の配信アーカイブ、ピアノをBGMにした雑談配信、
バンド曲、オーケストラ曲、ジャズのピアノトリオの曲、吹奏楽、民族音楽、ゲームBGM風ピコピコ音楽――ジャンルも形式もごった煮で、全部1チャンネルに詰め込まれていた。
「これじゃ“無限ガチャ”。探すのに一晩かかるわ」
外部スタッフを雇い、「配信用」と「オリジナル楽曲用」にチャンネルを分離。
さらにジャンルごとに再生リストを整理。
同時に、消えかけていた古い配信データや切り抜きを体系的に保存する「アーカイブ庫」も立ち上げた。
「ここなら全部残ってる」という安心感が、ファンにとって大きな信頼につながった。
『見たい曲がすぐ見つかる!』『過去配信が保存されてるの神!』
『マリ姐に足を向けて寝られない』
→タグ誕生 「#マリ姐に足を向けて寝られない」
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◆半年後の空気
最初は「女マネージャー登場」で炎上していたマリ姐。
だが、未投稿曲の発掘、公式サイトの開設、楽譜アーカイブ、観察日記の予告、チャンネル分離とアーカイブ保存――。
半年かけて次々と改善が進むにつれ、残っていた嫉妬や不信感も自然と消えていった。
SNSには感謝の言葉とタグが並ぶ。
「#マリ姐ありがとう」
「#マリ姐ほんと救世主」
「#マリ姐に足を向けて寝られない」
「#観察日記まだか」
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◆ナレーション
「――嫉妬と炎上で迎えられたマリ姐。
だが、収益を梃子に超スピードで整備を進め、半年後には“マリ姐”と親しみを込めて呼ばれる存在へと変わった。
混沌は秩序へ。カオスを潰す女は、光の音楽をファンと分かち合う舞台を整えたのである」
シゴデキな話が好きなんだなと、書いてて知りました。
きちんと整理していく人偉い。
今回の好きな文章は下記。共感した人はぜひ評価を!
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「得た収益の一部、もろもろの整備や整理に使っていいですか?」
マリ姐が恐る恐る切り出すと、光はストローをくるくる回しながら答えた。
「いいよ、任せる〜。てかお金も全部任せるよ。これまでそれ無しでも別に困らなかったし」
「たしかに」
雪が素直に頷いた。
「……あなたたちねぇ!!」
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