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収益化と専任化

◆衝撃の事実


マリ姐は黒川 遥のPCのフォルダを覗き、言葉を失った。


膨大な採譜とアレンジ。

だがそれは、光と雪の日常で生み出されている曲全体から見れば、わずか2〜3割にすぎなかった。


「……これまでが“光さんの活動の限界”だと思っていた。

 でも実際には、黒川さんが拾えていたのはほんの一部。

 彼女の限界のさらに何倍もの曲が埋もれていたなんて……」


胃がきりきりと痛む。

外から見ていた混乱より、内側は桁違いに酷かった。



◆即断即決


マリ姐はすぐに判断を下した。


「まずやるべきは、収益化と黒川さんの専任化です」


即断即決だった。

今のカオスを整理するには、人材と資金と時間が絶対に必要。

そして、そのための資金はすでにそこに転がっている。



◆収益の整理


広告設定は未設定、音源サブスクは未申請。

スポンサーからの窓口もなく、オファーは光の個人DMに届き、ファンの感想DMに埋もれていた。


「……未読だけで何百件あるのよ」


さらに、配信画面には「スパチャ(投げ銭)」の項目すら存在していなかった。

設定を入れてボタンをオンにした瞬間――待ちかねていたかのようにコメントと支援が流れ込み始めた。


光は唖然として画面を見つめる。

「え、これ……全部お金になるの……? これ全部誰かがお金払ってるコメントなの!?」


慌てて手を振る。

「え、待って待って!みんな!そんな謎にお金払わないで!」


だがその言葉が逆に火をつけてしまい、コメント欄は一斉に盛り上がった。


•「止めるな!」

•「ありがとうを伝えたいんだ!」

•「むしろ借金を返してる気分」

•「それな」

•「こっちが救われてるんだから当然」

•「推しに払うのは生存費用」

•「感謝を形にできるって最高」

•「むしろもっと投げさせろ」


画面は光の困惑をよそに、コメントとスパチャでお祭り騒ぎになっていく。


マリ姐はため息をつき、冷静に言った。

「……これは副次的なものです。本筋は音源のサブスク配信です」


未申請だった音源ストリーミングの登録を済ませた瞬間、状況は一変した。

過去に配信で弾いた楽曲、アレンジ、オリジナル曲……それらが一気に世界中のサービスで流れ始め、数字が跳ね上がっていく。


「光さん、これが本来の姿です。ファンは日常的にあなたの音楽を聴きたいのです。

 そしてそれが、自然に収益を生み出す仕組みになります」


光は目を瞬かせ、素直に頷いた。

「へぇえ。マリ姐すごいね!」


マリ姐は机を叩かんばかりに立ち上がり、叫んだ。

「すごいのはあなたです!!!」



◆サブスク解禁直後のファンの声

•「通学中に聴けるのやばい、毎朝のルーティン確定」

•「会社行く前に一曲だけ再生したら元気出た」

•「寝る前に流してたら泣いた……ありがとう光くん」

•「料理しながらBGMにしてる、贅沢すぎる」

•「海外旅行中だけど普通に聴ける!世界中どこでも一緒じゃん」

•「プレイリストに全部入れた、これで通勤時間が楽しみになる」

•「昔の配信曲までサブスクで聴けるの最高」

•「家族に聞かせたら“この子すごい”って言われた!」



◆実績


解禁から一週間——

光の名前はじわじわとランキングに姿を現した。


•国内ピアノ・インスト部門:3位

•総合デイリーチャート:28位

•海外では「Lo-Fi Piano」「Study Music」など小規模プレイリストにピックアップ


SNSでは「#光がランキング入り」が静かに広がり、ファンたちは誇らしげにスクリーンショットを投稿した。

•「インスト部門3位!?すごい!」

•「総合でも30位以内とか普通にやばい」

•「勉強用プレイリストに光くんの曲入ってた……泣いた」

•「海外でもちょっとずつ聴かれてるの誇らしい」



◆黒川への説得


マリ姐は黒川に向き直った。


「この収益で、あなたを専任にします。もう会社との掛け持ちは不要です。

 そして――心身ともに健康に、きちんと続けられる状態を作ってください」


黒川は戸惑ったように眉を寄せる。

「でも……私が休んだら曲が止まりますよね」


マリ姐は首を横に振り、きっぱりと言った。

「いいえ。あなたが倒れるのが一番困ります。

 あなたがいなければ、光さんの音楽は形にならないんです」


その声は穏やかだが、揺るぎなかった。


黒川はしばらく唇を震わせ、やがて深く頭を下げた。

「……ありがとうございます」



◆帰宅と爆睡


その日、遥は自宅に戻るなり、靴も脱ぎきらないうちにベッドに倒れ込んだ。

頭に浮かぶのは「もう休んでいい」という言葉。

そのまま深い眠りに落ち、気づけば翌日の昼まで目を覚まさなかった。



◆ナレーション


「――こうしてマリ姐は、収益の流れを整え、音源サブスクを解禁し、翻訳者を正式に専任化させた。

 その成果は静かに数字となって表れ、光の名は国内ランキングに現れ、海外でも少しずつ“発見”され始めていた。

 死に物狂いの努力に依存した活動は、ようやく“持続可能”なものへと変わり始めた」

活動を継続させて広げていくために、実は安定した収益が必要なんだけど、光が生きていくだけなら男性特有のベーシックインカムでいいんですよね。

だからこそ、お金をどうにかするモチベがなかった。

それをマリ姐が頑張ることによって可能性が広がっていく話でした。


黒川さん、ブラック労働解放よかったね!


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