雪の訴え
◆母の揺れ
最初の面会から数日。
夜、雪は思い切って光の母に声をかけた。
「……最近の光、最初に配信を始めた時みたいな本気がなくなってる気がします」
母は少し目を伏せ、ため息をついた。
「……私も、それは感じているわ」
声には迷いが混じっていた。
「でもね、雪ちゃん。あの子をこのまま家族の中で守っていれば、少なくとも安全に生きられる。
けれど、あの才能を正式に外に解き放てば……注目も、敵意も、利用しようとする人間も、雪崩のように押し寄せる。
どちらを選んでも、簡単な道じゃない」
母の言葉は頑なではなく、迷いに満ちていた。
守りたいという思いと、その才能を生かさなければ腐ってしまうのではという不安。
その二つの間で揺れていた。
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◆雪の訴え
雪は唇を噛み、必死に言葉を探した。
「……でも、このまま守るだけじゃ光は腐っちゃいます。
最近、“遊びだし”って言うことが増えて……前みたいに瞳が輝いていません。
マリさんなら、光を支えてもっと遠くまで連れて行ってくれる。
……やっぱり怖いは怖いです。
光が遠くに行ってしまうんじゃないかって」
一度言葉を切り、雪は震える声で続けた。
「それでも……私は、このままここで終わっちゃう光を見ていたくない。
だから――」
雪は小さな拳を握りしめて、はっきり言った。
「――私が、そばで、支えます」
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◆母の茶化し
母はしばらく黙って雪を見つめ、やがてふっと口元を緩めた。
「……少し、ひとりにして考えさせてちょうだい」
その後、軽い調子で付け加えた。
「ところで雪ちゃん、さっきの言葉……プロポーズってことでいいのかしら?」
「っっ!!?」
雪の顔が一瞬で真っ赤に染まる。
「ち、ちがっ……そ、そういう意味じゃ……」
母はくすりと笑い、立ち上がった。
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ナレーション
「――守るべきか、解き放つべきか。
母の心は揺れ、雪の言葉にさらに揺れた。
だが確かなのは、光を本気に戻すために必要な人が、すでにそばにいるということだった」
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これも、いつも読んでくださる皆さまのおかげです!
最高でジャンル日間ランキング3位まで来れました。
次の目標は総合日間ランキングで100位以内です!(今は200位ちょっとくらい)
この物語はまだまだ始まったばかり、これからも引き続き読んでいただけると嬉しいです!
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