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初めての配信
準備を終えた光と雪は、机の前に並んで座っていた。
真新しいマイクとカメラ。まだ段ボールの匂いが残る部屋。
「……ほんとに始めるの?」
雪の声はかすかに震えていた。
「もちろん!始めるよ」
光は迷わずマウスをクリックした。
カメラの赤ランプが光る。
だが画面の視聴者数は「0」。
コメント欄は沈黙のまま。
「……誰も来ないね」
「まあ最初からは来ないって」
光は肩をすくめ、ピアノに向かった。
軽やかな旋律で「きらきら星」を弾きはじめる。
横で雪が小さく歌声を添えた。
その瞬間――視聴者数が「1」に変わり、コメントが流れた。
『男の子!?』『珍しすぎる!』
やがて2、3、10……と数字が増えていく。
『男の子でピアノ!?』『歌もうまい!』
そして、こんなコメントも混じった。
『わたしもこんな男の子と隣でピアノ配信したい人生だった』
『いったい前世でどんな徳を積んだら、あの席に座れるんだ……』
雪は顔を赤くし、慌てて声を落とした。
光は気づかず、楽しそうに弾き続けている。
その切り抜きは瞬く間にSNSに拡散され、
『#男の子ピアノ配信』のタグが生まれ、予想外の速度で広がっていった。




