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中学生編〜同じだけど、同じじゃない日常

ピアノの音が止まった。

光が椅子から立ち上がる。その影が、私を見下ろすように覆う。

――まただ。ほんの少し前までは、私と同じ目線で笑っていたはずなのに。

今では見上げるようになってしまった。


「ふぅ……」

汗を拭いながら息をつく光に、私はタオルを差し出す。

「ありがと、雪」

無邪気に笑って受け取る手が、指先にかすかに触れた。その一瞬だけでも、ごつごつした感触が残って心臓が跳ねる。


光がタオルで首筋をぬぐう。演奏の余韻を残すように動く腕には、細い筋が浮かんでいる。

短パンから伸びた脚は健康的に日焼けして、首筋を伝った汗が胸元に流れ落ちていく。

――目を逸らさなきゃ。そう思うのに、どうしても追ってしまう。


汗を拭いたタオルを机に置いて、光は無防備に部屋を出ていく。

私はそれを拾い上げ、誰もいないのを確認してから、ほんの一瞬だけ顔に近づけた。

女の子とは違う熱っぽい匂いが鼻先をかすめ、胸がぎゅっと締めつけられる。慌ててタオルを離したけど、頬の熱は冷めなかった。


「……私はただ、お世話をしてるだけ。昔からのこと」

そう言い聞かせる。けれど、もう昔みたいに無邪気には見られない。


同じ時間を過ごしているはずなのに、もう同じじゃない。

それを一番よく知っているのは、たぶん――私だ。

男女貞操観念逆転世界って、こういう描写が一番楽しいよね。


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