1/1
決心
「ねぇ、君、もう死ぬの?」
「うん。みたいだね」
「どうする? このままいく?」
「嫌だけど仕方ないよ」
「本当に?」
屋上のフェンス越し、網を介して言葉を交わす。
「フェンスの上に立ってる君が、ここから落ちるのと同じだよ」
「僕は落ちないよ」
「なんで?」
「だって」
空を切り裂かんが如く広々と両翼を見せびらかす。
「天使だから」
それはとても悔しいくらいに、
「綺麗だ」
「……。ねぇ、僕と一緒に来ない?」
「え」
「どうせ、最期までやることないんでしょ?」
「うん」
「じゃあ」
「うん」
「今からでも?」
「うん」
「よし、しゅっぱーつ!」
「おー」
手を天高く伸ばし、何処かへと向かっていく。