七、寄りかかる時
美羽にメッセージを送る。
ーーずっと聞きたかったんだけど
ーーどうして俺なの?
小5の時に殴った。
あの時、嫌われたと今でも信じていた。
聞いたら離れていってしまいそうで、聞けずにいたのだ。
美羽からの返信はすぐに来た。
ーー理由なんて覚えてない
ーー長いこと片思いしてたから、忘れた
ーーでも航星、優しいよ
ーー殴るのは良くないけど
(返信早いし多いなぁ)
航星は思わず面食らう。
こちらも正直な気持ちを打ち込まないと。
普通は自分を殴ったやつのことなんて嫌いになる。
そう打とうとしたが、美羽のメッセージが先に現れた。
ーーあれから、航星は誰も殴ってない。本当は航星は優しい
ーーでも誰が航星に優しくするの?
ーーいつも琴音ちゃんとセット
ーーわたしはちゃんと航星のことを心配したい
ーーそれは好きだからだと思う
ーー殴る航星を見た時、出てた
ーー航星の、へるぷみー
ーーだから、勝手に嫌われないで
美羽の言葉は溢れて止まらない。
ひとつひとつが航星の胸に落ちて、柔らかな波紋を描いていく。それは、じんわりと温かい。
ーー聞いてる?
ーーそれとも引いてる?
ーーわたし熱すぎた?
美羽からの新しいメッセージに、思わず微笑んだ。
ーーありがとう。
ようやく返信することができた。