その二
高校に入学してもう5月になり、少しばかり慣れてきたころだ。
小中高と一緒の幼馴染のネネと登校していた。
「なあ、ネネお前もう部活決めたか?」
「まだ」
「もうそろそろ決めないといけないよな。入りたい部活はないのか?」
「ない、あなたは」
「俺も決めてない、俺らのクラスで決めてないの俺とお前だけらしいぞ。早く決めないとな」
この朝の話が伏線だったのではないかと今になって思う。
「おう、おはようネネ。ついでに空も」
この男勝りみたいというか男ではないのかしれない性別不明なのが中学からの友達の美川莉子だ。
「誰が男だ!こんな、かわいい女の子になに言ってるんだ!」
ローキックを見事なまでに決めてきた。
「イテッ!自分のことかわいいと言ってること含めて痛い!!」
「うっさい!!」
「今のは、あなたが悪い」
「あらあら、朝から騒がしいですね。みなさんおはようございます」
「あ!鈴おはよう」
彼女は天王寺 鈴 お姉さん系のやさしい子だけどたまに怖い。高校入ってからの知り合いだ。
「あ。そういえばみんなまだ部活に入ってないんだよね?」
「ああ、私は部活入ってないよ。どこもしつこく勧誘してくるうちに入るところなくしたよ」
まあ、何となく予測はしていた。
「莉子ちゃんは運動神経いいものね。私も入っていませんよ」
「さっき、ネネとそのことについて話してたんだが、放課後部活見学行かねえか?」
「う~ん、そうだなじゃあ私は行くよ!」
「なら、私もご一緒させていただきます」
「ネネもそれでいいか?」
「・・・・(コクッ)」
「じゃあ放課後な」
昼休み
「空、お前もう部活決めたか?」
「ああ、そのことなら大丈夫だ。放課後部活動見学に行く」
一緒に弁当を食べている奴は、同じクラスメイトの矢吹 信だ。
まあ、ただの悪友でアホの奴だ。
「お前それもしかしてあの三人と回るのか?」
「あ、ああ。一応な」
「てめぇ!なんでお前だけあの華の三人衆といるんだ!!」
あの三人とはもちろんネネ 莉子 鈴 の三人だ。
学年トップ3に入っている。
でもあいつら、見た目がいいのに中身がちょっとずれている。
つうか、ネーミングセンスが最悪だ。
「なんでって、たまたま仲よくなっただけだよ」
「よし決めた!俺も付いていく!!てめぇだけ、ギャルゲーの主人公みたいな真似させるか!!!」
「馬鹿!!誰がギャルゲーの主人公か!エロゲーの主人公だ!それとお前は剣道部だろ部活いけ」
「ま、まさかもう手を出したのか!」
「ふ、まだだがもう終盤に入っている。このままいくと鈴が落ちる」
「へ~、空ちゃん。誰が落ちるの?」
「あ、り鈴様いつからそこに?」
「えっとね、誰かさんがエロゲーの主人公になるってところからかな」
「恐れ多くもこのことを許してもらえませんかね?」
「いいよ、ただし私の言うこと一つ聞くことね」
それは、悪ガキが新しいいじめっ子を見つけた時のような笑みだった。
「信 助けてく・・」
ただいま 矢吹 信 急な用事のため消えます byお前の親愛なる親友 矢吹より
一通だけの手紙が置いてあった。
「信んんんんんん!!!!!!!」
「じゃあまた放課後ね。バイバイ、空ちゃん」