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魔王と勇者と魔王軍幹部共  作者: sazamisoV2
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魔王と勇者と幹部共⑬

「そんなことよりも、テストはどうなったんだ?」


「あっ!そ、そうでした!すみませんガロンさん!さっきのお話はまた今度――」


「あぁ、ちょっと待ってくれエリス。ルルヴィゴールに伝言をお願いしてもいいか?」


「る、ルルヴィゴールさんに、ですか?」


 物凄く気まずそうな顔を見せるエリスだったが、引き留める気はなかったのでささっと伝言を伝えて送り出した。


 すると、一分もしないうちに再び【玉座の間】の扉が開き、ルルヴィゴールが飛び込むようにして部屋に入って来る。

 後に続くようにエリスも入って来た。


「ままま、魔王様!?私に大切な話があるとお聞きしたのですが!?ももも、もしかして、もしかしちゃうんですか!?」


「来たかルルヴィゴール。早速だがお前に罰を与える」


「ば、罰……!?一体どうして……いえ、魔王様から頂く罰なら私にとってはご褒美のようなもの。わかりました。この氷魔ルルヴィゴール、どのような罰でも喜んでお受け――」


「今後一切、我の私室への出入りを禁止する」


「いやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 俺の言葉を聞いたルルヴィゴールは叫び声をあげた後その場で血を吐いて仰向けに倒れ込んだ。

 部屋に入れなくなるくらいでどんだけショック受けてんだよ怖いよ。


「な、なぜ、そのような、ことを……?」


 自分の胸に聞いてみろと言いたいところだが、未だに気付いてない辺り悪いことをしていると言う自覚はないらしい。

 ということは、おそらくルルヴィゴールは完全なる善意から部屋の掃除をしたり体調管理云々をしているということなのだろう。

 やり方は完全に邪道に堕ちているが、気持ちはありがたいと思う。気持ちだけはな。


 すると、ルルヴィゴールはハッとしたような顔になった。


 まったく、ようやく気付いたか――。


「ま、まさか!?私の身体を融かして作ったお茶を魔王様に飲ませたことがお気に触ったのですか!?」


「そうそ――なんだって?」


 何その話初耳なんだけど。


 そう言えば、俺がお茶を飲んでいる際にやたら恍惚とした表情をしている時があったが――まさかあの時飲んでいたのはお茶じゃなくて『ルル茶』だったってのか。

 え?何考えてんの?


 絶句していると、聞いてもいない理由を正直に垂れ流し始めた。


「なんと言いますか……『私の身体が魔王様の体内を巡り、徐々に魔王様の身体の一部になっていく』ということに何とも言えない興奮を覚えてしまい――」


 何とも言えないのは俺の方だよ。

 ていうか、えぇ……気持ち悪いと言うよりここまで来ると普通に怖いんだけど……。


「違うのでしたら――ま、まさか!?たまに私が魔王様が寝ているベッドの下に潜り込んで一夜を明かしていることが気に障ったのですか!?」


「待て待て待て待て、我が寝ている下で寝てた?え?なんでそんな怖いことするの?」


 誰もいないと思っていた部屋に誰かがいるだけでも相当怖いのに、ベッドの下に潜り込んで息を潜めてるとかどんな恐怖体験だよ。気づかない俺も俺だが。


「ちなみにガルゼブブが一緒の時も――」


 ガルゼブブも……!?一体何をやってるんだこいつらは……!


 ていうかなんでわざわざ俺の寝てるベッドの下に来て女子会開いてんだ……!

 自分達の部屋でやれ自分達の部屋で……!


「それでもないとすれば――ま、まさか!?」


「やめろやめろ!これ以上聞きたくない!」


 思わず大きな声を出してしまう。

 心当たり多すぎだろ。


 そのあたりは後でガルゼブブにでも頼んで――いや、ガルゼブブも信用ならないのか。俺の部屋に侵入してる一人だしな。

 デルゼファーはそう言う話は笑い飛ばしてしまいそうだし、ロルデウス――も俺の部屋に勝手に入ってるんだったかそういえば。


 あれ、もしかしなくても魔王軍幹部ってやばい連中しかいないのか?


 まずい。

 いよいよエリスの幹部加入を本格的に検討する必要が――いや、駄目だ駄目だ。楽な方に逃げようとするなデスヘルガロン。


「とにかく、我の部屋への出入りは禁止だ。わかったのか、わからないのか。答えよルルヴィゴール」


「くっ、う、ふぅぅうう……」


 涙を浮かべながら唸るルルヴィゴール。

 泣きたいのはこっちだよ。


 いつもは大体二つ返事なのにすぐに答えないという事は相当嫌らしい。

 勝手に部屋に入るなという当たり前のことを言っているだけなのになんでそんなに嫌がっているのかさっぱりわからない。

 もしかして部屋の掃除だったり布団の匂いを嗅ぐ以外に何かしてるんじゃ――いや、やめよう。

 無為な詮索は傷つけることにしかならない。俺の心をな。


「お待ちください、魔王さま」


 その声と共に前に出て来たのは、まさかのエリスであった。

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