~第二十二話~ 書込
遅くなりました。
申し訳ありません。
あの後、俺はフェンリルのキバと魔石をもらった。
もらった魔石を加工するための技術を母さんに教えてもらっていた。
「まず魔石には魔石の大きさに応じた魔術を書き込めるの。
そして、書き込んだ魔術は魔石内部の魔力を使うから術者の魔力を使わない。
つまり、魔力がない人でも魔術を使うことができる魔道具ができるの」
「なるほど。 じゃあ魔力がある人はあまり利点がないの?」
「いいえ。 魔術師が魔道具を使うと、魔石には書き込まれた魔術を
いつもより少ない魔力で発動できたり、書き込まれた魔術を普通に
発動する時の魔力量で威力を増幅させたりできるわ」
「そうなんだ!」
と俺が感心していると母さんは自慢げに
「さらに、フェンリルほどの強さの魔物の場合、何度も書き込む魔術を
書き換えることができます!」
と言った。
俺はその言葉に素直に
「すげぇ! じゃあ戦闘中に自分の使いたい魔法を書き込み直せば
超強いじゃん!」
と言った。
俺の言葉を聞いた母さんは
「フフッ」
と笑い、ニヤニヤしながら
「それはどうかなぁ」
と言った。
俺は母さんのその顔に不安を感じた。
その不安は的中した。
…裏庭…
俺と母さんは魔術を魔石に付与するために裏庭に来た。
「それじゃあ魔術付与について教えるわね」
そういった母さんに俺は
「お願いします!」
と言って頭を下げた。
それを見た母さんも軽くお辞儀をした。
「まずはゴブリンの魔石で練習するわね」
「タツヤはこの前感覚でエンチャントしたのよね?」
「うん」
「それは感覚でエンチャントをするなんてすごいわね」
俺は母さんに褒められてうれしくなった。
「でも、魔術付与はエンチャントとちょっと違うの」
「エンチャントは魔術を剣の周りにまとわせるように発動するのだけど、
魔術付与は魔法陣を魔石に魔法文字で書きこむの」
「魔術線はこの前お父さんが地面に引いてた光る線のようなものね」
俺は真剣に母さんの話を聞いていた。
「それじゃあファイアの魔法陣を書き込んでみるわね」
そう言って魔石を机に置き、その上に魔法陣を書きだした。
「こうやって魔術線で魔石の上に書き込みたい魔法陣を書いて」
魔法陣を書き終わった後、書いた魔法陣の上に自分の手をかざして
「こんな風に自分の魔力を使って魔石に押し込むようにするのよ」
と言いながら、魔法陣を魔石に埋め込むように書き込んだ。
そしてできた魔石を持ち
「この魔石を持ってファイアを思い浮かべると...」
と言うとファイアの魔法が魔石から放たれた。
「こんな風に魔法が発動できます」
「ちなみに魔力切れの魔法石はくすんだ色になるからわかるわ」
と言った母さんの手の中にある魔石がくすんだ黒色をしていた。
「さあ、タツヤもやってみなさい」
俺は母さんにゴブリンの魔石を渡された。
「まずはファイアの魔法陣を書き込んでみましょう」
「はい!」
「魔術線は魔力のインクで文字を書くようにやるのよ」
そういわれ俺は魔力で満たされたインクを思い浮かべ、魔石の上に魔法陣を書いた。
「そう、そしたら自分の魔力で押し出すように魔法陣を魔石に書き込むのよ」
言われて通りに魔法陣に手をかざし、魔力を手から出し、魔力を書き込んだ。
「できた!」
俺は喜びのあまり声を出した。
母さんは
「使ってみなさい」
と言った。
俺は魔石を持ちながら火を思い浮かべた。
するとファイアを発動することができた。
「よくできました」
そういった母さんは笑っていた。
俺は一発成功にニコニコしていた。
「これで分かったでしょ」
と母さんは俺に言った。
「え?」
俺は何のことを言っているのかがわからなかった。
「これを戦闘中にするのはなかなかなのものよ」
「あっ! 確かに」
俺は成功したことがうれしくてすっかり忘れていた。
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