~第二話~ 善行
「起きてください」
優しい声が俺の意識をそっと呼び覚ます。
「達也様。 起きてください」
その声は聞きなじみのあるような
すごく落ち着く声だった。
「ううっ」
俺はその声にこたえるかのようにそっと体を起こした
「ゆっくり目を開けてください」
目を開けるとそこには何もない白い空間が広がっていた。
「おはようございます。 体調はいかがですか?」
目の前には、綺麗な白いドレスを着た20歳くらいの女性が立っていた。
色白で顔立ちが良く、メイクをしていないにもかかわらず
アイドルのような女性だった。
「あっ。 はい。 大丈夫です」
俺は女性の質問に答えた。
不思議と気持ちは落ち着いていた。
「良かったです。」
そして彼女は神妙な面持ちで
「暁達也さん、あなたは死亡しました。」
その瞬間、俺の頭の中に自分自身が死んだときの感覚が一気に流れ込んできた。
「うがぁ! あっ!」
「頑張ってください。それはあなたが絶えなければいけない最初の試練です」
心配そうに駆け寄ってくれたその女性は俺の背中を優しくさすってくれた。
10分ほどたっただろうか。
ようやく平常心を取り戻した俺に彼女はそっと言葉をかける。
「落ち着きましたか?」
「はい。 だいぶ良くなりました」
「それはよかったです。 痛みに耐えられなくて消えてしまう魂もあるので...」
「消えてしまうとどうなるんですか?」
「転生することができず、霊となって前世に残ってしまうんです」
彼女はすごく悲しい顔をしていた
「それは悲しいですね」
「ええ。でも、あなたはこうして克服してくれのですからそれで良いのです」
俺を心配させないためか、彼女はすぐに元気な顔になって言った。
「自己紹介が遅くなりましたね。 私は天界に住む神々の一人。暁達也様担当のアリアと申します。」
「俺の担当?」
「はいっ、どんな生物にも一人担当の神がついているんですよ」
これは驚いた。神はいる思っていたが担当がいるとは思わなかった。
「達也様。あなたは不幸なことに死亡してしまいました」
ズキッと心臓が痛んだ。まだ死亡したという現実に慣れていないのかもしれない。
「あなたは前世で善行を積んでいたため転生することができます。
転生を希望しますか?」
俺は転生という事にあまり実感がなかった。
そのため、転生するに当たり俺が一番重要としている事を聞くことにした。
「俺は、人のために努力する事が一番大好きなんです。
だからこれからの人のために努力し続けたいんです。」
俺がこう言うと。彼女はまるでこの言葉を待っていたかのような笑みで
「はいっ! もちろんです!」
彼女の自信満々の声を聴いて俺の心は決まった
「転生したいです。 お願いします」
「かしこまりました!」
俺は今まで見た笑顔の中で一番綺麗な笑顔を見た。
しばらくして……
「それでは、転生にあたっての説明をさせていただきます」
彼女はかしこまった様子で説明を始めた。
「1.達也様は先の家族を選ぶことはできません」
「2.達也様は6歳で前世の記憶を取り戻すことができます」
「3.達也様が6歳になるまでは神々の加護があるため死亡することはありません」
「4.転生者には前世で積んだ善行に応じてスキルが与えられます」
「達也様は6歳のころからボランティア活動などを通して善行を積んでいるため
当然スキルが与えられます」
「何が与えらえたんでしょうか?」
「すみません。それは転生後にならないとわからないのです。」
「最後に私と会話をしたい場合は、祈ってください。」
俺は、その言葉に疑問を持った
「神様と会話ができるんですか?」
彼女は顔をすこし赤らめて言った
「基本は神々と会話をすることはしないのですが……」
「笑いませんか?」
俺は何のことを言っているのかわからなかったが彼女が安心するように
「笑いませんよ」
と言った。
そうすると彼女は顔を隠しながら。
「達也様とおはなしがしたいからです」
今の一言で彼女に親近感がわいた。
そんな彼女の期待に応えるために、俺は胸を張って言った。
「任せてください。 定期的にアリア様に祈りを捧げます」
その言葉に彼女は喜んでくれたようで転生の準備をニコニコしながら進めていた。
数分後
「達也様、転生の準備が整いました」
「アリア様、今までありがとうございました。そして、これからもよろしくおねがいします」
俺は精一杯の感謝を彼女に伝えた。
「はい! お気を付けて!」
彼女は笑顔で返事をしてくれた。
「いってきます!」
そう言った瞬間、体を白い光が包み込み、俺は深い眠りについた。
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