コント「Mr.ヒジカタ・マジックショー」
舞台…マジックショー
配役…手品師 助手 観客
観客 「(チラシを見ながら)“日本一鳴る男 Mr.ヒジカタ・マジックショー”か。“鳴る”って何だろう?ちょっと見ていこう」
手品師が音楽に乗って登場
手から花を出すマジックをするが、出すたびに♬ポキ ポキ♬と音がする
(※以下、効果音の部分は♬ ♬で囲って表記)
観客 「え?何の音?」
手品師がシルクハットからハトを出すと、ハトが♬フルッフー♬と鳴く
♬ポキ フルッフー ポキ フルッフー♬
観客 「うるさいな。音が渋滞してるよ」
音楽が止み、手品師がハトとシルクハットを置いて舞台中央に来る
手品師「サプラーイズ!はい、ということで私がMr.(両ヒジを曲げる)♬ポキ ポキ♬ヒジカタです」
観客 「だからその音、何なの?」
手品師「ご覧のとおり、私は日本一関節が鳴るマジシャンとしてやらせてもらってます」
観客 「あれ、関節の音だったの!?“鳴る”ってそういう意味か」
手品師「どうぞ、手品と関節のハーモニーをご堪能ください」
観客 「嫌なハーモニーだな」
手品師「ちなみに、特に肩とヒジが鳴りやすいのでこの芸名にしました」
観客 「Mr.ヒジカタってそういうこと!?」
手品師「さて、次のマジックはお客さんに協力していただきましょう。そこの関節が鳴らなそうなお兄さん、こちらへどうぞ」
観客 「…えっオレ?(舞台に上がる)もっと分かりやすい特徴を言ってもらわないと」
手品師「そこに立って、私の動きをよく見てください」
観客 「見ればいいんですか?」
手品師「よく見てください。タネも仕掛けもありませんよ」
観客 「は、はい」
手品師「いきます!(しゃがんでヒザを曲げる)♬ミョン♬」
観客 「何、今の!?ヒザでそんな音、鳴る?」
手品師「サプラーイズ!」
観客 「いや、確かに驚いたけど!思ってたのと種類が違うなぁ」
手品師「ありがとうございました。皆さん、協力してくれたお客さんにも盛大な拍手を!」
観客 「(舞台から降りる)客上げる意味無くない!?」
手品師「最後は究極のマジック“爆破脱出マジック”です。今から私は手足を縛られ、この箱に閉じ込められます。1分以内に脱出して起爆装置を止めないと大爆発!この箱ごと吹き飛びます」
観客 「マジかよ。ガチのマジックじゃん」
手品師「難易度は超ハード!(ガッツポーズする)腕が鳴ります! ♬シーン♬」
観客 「鳴れよ!」
手品師「(助手に手足を縛られる)非常に危険なマジックですが、ご安心ください!Mr.ヒジカタに、不可能はありません!(満面の笑みでゆっくり箱に入る)」
助手 「(箱を施錠する)♬ガチャッ♬爆破脱出マジック、スタート」
♬ポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキポキ♬
観客 「めっちゃ急いでる!さっきの余裕どこ行ったんだよ?」
♬ミョンミョン ポキポキ ミョンミョン ポキポキ ミョンミョンミョン♬
観客 「しゃがみすぎだろ!まさかヒジカタ、パニクッてる?」
♬ミョンミョン ポキポキポキポキ ボキィッ!!♬
観客 「えっ変な音したよ!?」
♬・・・シーン・・・♬
観客 「止まった!?えっヤバくない!?」
助手 「残り20秒」
観客 「もう無理だって!ちょっ、誰かー!」
♬フルッフー♬
観客 「ハトはいいよ!この場に一番ふさわしくないよお前は!」
助手 「3・2・1・0!」
暗転 ♬ドカーン!♬
明転 舞台から箱が消えている
観客 「ヒジカター!ウソだろ?大丈夫だよな、ヒジカタ?…ヒジカタあぁ~!」
♬…ポキ…ポキ…♬
観客 「この音はまさか!?」
手品師「サプラーイズ!」
観客 「ヒジカター!」
手品師「もう駄目だと思ったでしょ?ご覧の通りピンピン・ポキポキしてますよ」
観客 「ポキポキはどうでもいいけど、良かったー」
手品師「それではみなさん、またお会いしましょう!さようなら!(お辞儀する)♬ボキィッ!!♬」
観客 「あの音、腰の関節だったんだ」