『普通』の終わり
作者がサイコパスであるため正常な人には理解しがたいこともあると思います。
また、後に進むに連れて主人公のサイコパス度も上がってきます。
主人公が普通に人を殺すようになったら私を精神科に連れていってください(笑)
貴方をサイコパスの世界へ引きずり込んでしまう恐れがあるので耐えられる方、または既にサイコパスの方のみ閲覧してください。
そしてサイコパスになりたい人は読むことに激しく同意します。
でもジャンルはギリギリサイコパスホラーじゃないです。(主人公は好んで殺してません)
【お願い】
・確認はしていますが、誤字のある場合があります。その場合はお気づきの方、お手数ですが私までお知らせください。
【変更点など】
・5/18 主人公達の年齢を高校一年生から高校二年生に変更しました。
『紅いはぁとのチョコレート』
それは、この桜咲町で、最も恐れられているもの。
どこからかそれは贈られてきて、それを贈られた者は『3日以内に死ぬ』
それはまさに『神からのgift』といえる。
いくら、何をしたって、この町にいる限りは、『gift』は貴方の元へ届く。
『愛の死刑宣告』を、貴方に告げる。
時は2月。寒い日の続いてうんざりするような時だが、乙女たちが一番ドキドキしている時でもあろう。
そう、もうすぐ『バレンタインデー』がやってくる。
私のクラス、2年C組でも、最近は好きな人だとか
誰に渡すかとかが、しょっちゅう話題に上がり、その度に盛り上がっている。
まぁ、私は恋愛とか正直興味ないので、聞き流しているだけだが。
そして現在、私、紫陽花 月見は親友である山茶花 紅茶と学校の帰路をのんびりと、会話しながら歩いていた。
「ねぇねぇ、結局月見は誰にチョコあげるの?」
「え?いや、何度もいうけど…私は好きな人とか居ないから、チョコをあげる気はないよ」
「もーうっ!月見は夢がないんだからーっ!高校生なんだから、もうちょっと『乙女心』ってのを持ちなさいっ!」
「あーはいはい。分かりましたよー」
先程も言ったように、私はこんな話など興味はない。
私がこの2月に、興味があることといったら…
「ねぇ紅茶、バレンタインといったら…?」
「えー?それはチョコレートでしょっ!」
「『紅いはぁとの』チョコレート」
そう、私は1年の9月にここに引っ越してきたが、この町だけに起こる現象、愛の死刑宣告に深く興味がある。
そして、バレンタインの時期は、愛の死刑宣告が、いつもより増えるのだ。
「本当に、月見はその話好きだよねー」
そんな紅茶は私とは対照的で、恋愛には興味津々だが、愛の死刑宣告には全く持って興味がないのだ。
「まぁね。私は怪談話好きだし、ほら、もしかしたら…明日紅茶にも、紅いはぁとのチョコレート、届くかもよ…?」
「まさかー、そんなことないからっ」
「でもねぇ…?昨日もgiftが届いて死んだ人いるよ?この時期じゃいつ届いてもおかしくないの♪」
そんな他愛のない会話を続けていたら、家の前に着いた。
「じゃ、紅茶、また明日学校でねー」
「うん、それじゃあね、月見ー」
手を降る紅茶にいつものように少し微笑んで、家に入った。
先程までの雰囲気が嘘だったみたいに、静まり帰った家。
バッグを適当にソファーに放り投げ、ベッドにダイブする。
うつ伏せになり、気を紛らわすように考える。
…私は、両親のことを何も知らない。幼い頃に捨てられ、両親とは別の人に育てられた。
そして、その両親もまだ一人で生活もできないぐらいの時、原因不明の死を遂げた。
それからは養護施設で育てられ、中学生になってからは一人で暮らしていた。
そして今年に入り、この桜咲町の存在を知った。
この町は、愛の死刑宣告のせいで最近は住民が少なくなっていて、そのため学費も安い。
一人暮らしの私には、好都合な町だったのだ。
別に、頼れる人もいない私は、いつ死んでも誰も悲しむことはないしね。
それと…愛の死刑宣告を受け、親の居ない人が多くて、ここなら私も一人で生きていけると思ったから。
だから、今は親が居ないのを、愛の死刑宣告を受けて死んだことにして生きている。
ただ、私は育て親が死んだ時でさえ、泣けなかった。
今も…悲しいはずなのに、泣けない。
いや、正確には、心の奥底が泣くことを拒否しているのだ。
私は、記憶のあるなかで、僅かでも、泣いたことはない。
どうしてこうなったかは、実際はよく分からない。
ただ、心当たりがあるかと言われれば、ある。
それは、育て親の元に居たときに、目の前で人が死んだのを見たことがある、ということ。
そしてその人は、いつも私の側で笑っていてくれた、大切な人だった、気がする。
一番の原因は、その人が死んだのは、私のせいだった。これだけは、確信が持てる。
ただ、その死んだ人は、産みの親なのか兄弟姉妹なのか、仲の良い友達だったのか…それは分からない。
そうすると、私は人殺し何じゃないかって。
その人殺しに、泣く意味なんてあるのかって!
それを…今まで問い続けてきた。
「…あはは…っ…」
そんな気持ちを抑えるために、いつだって、笑うことしかできなくなった。
«…♪»
突然、耳元に置いてあった携帯から音がなる。
無駄に陽気な音楽で、耳を塞ぎたかったが、携帯を取り出して内容を確認する。