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召喚
―――ッパァーーーンッ!!!!!
何かが頭の中で弾けるような感覚を覚えた。
微睡みに埋もれた意識が、何かに引っ張られるように浮上していくのを感じて凉太は重たい目をゆっくりと開く。
見慣れた大きな染みのある天井はそこになく、代わりに、シャンデリアが異様に高い天井にぶらさがっていた。
「……ここは一体?」
右側が少し、暖かさのある重みと、かすかに洗剤の香りが漂い、鼻腔をくすぐる。
首をそちらへ振ると、可愛らしい自分の妹が、ゆったりと寝息を立てている。
凉太は思わず笑みを浮かべて、優しく頭を撫でた。
(さて、これからどうするか考えるためにもここが何処か知る必要があるな…。)
上半身を起こして周りを見渡すが、寝室らしく、何も役立ちそうなものはないようだった。
誰かがここに寝かせたなら、人が来ると考えた凉太は妹の柔い頬をぷにぷにと押して遊んでいることにした。
「――――お目覚めですか?体調はどうでしょう?」
……気付かなかった。声のした方を向くと綺麗なメイド姿の女の人がリンゴの皮を銀ナイフでしょりしょりと剥いていた。