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姫様の仰せのままに  作者: 山田 龍花
穏やかな日常
6/7

ジョーカーは享楽的に笑う

明るい電灯が輝き、人が溢れる繁華街を少し過ぎたところ。その細い路地は暗い。


まるで、それは光と闇。

しかし、闇があるからこそ光が存在する。

逆に光があるからこそ闇が存在する。

光と闇は切り離せない。


生と死。

善と悪。

日常と非日常。




そこで、俺は待っていた。ターゲットが来るのを。


ブルルル

大きなエンジン音と共にその赤いスポーツカーは人気の少ない細い路地で止まる。


その車の名はテスラ・ロードスター。市販の電気自動車タイプのスポーツカー。ガソリンエンジン車よりも構造がシンプルになっている。0-60マイル(0-96km/h)加速が3.9秒とされている。しかも同じ距離をガソリン車よりも非常に安い費用(電気代)で走行でき、走行時に二酸化炭素も排出せず、エコロジーや持続可能性の観点からも良いスポーツカー。


車から一人の男がでる。



桐生司きりゅうつかさ

日本の政治家。外務省のキャリア。

黒ぶちのメガネをかけ、短髪。背筋がしっかり伸びていて、精悍。若く見える。とても50歳とは思えない。せいぜい30歳くらい。その外見からは静かな知性を感じる。


情報通り。

ナイフを手に取る。

ターゲットに近づく。


ひたひた


桐生「大空ツバキさん?」


俺は言葉を発しない。ただ歩くだけ。


ひたひた


桐生「誰だ?」


車のライトで明るく俺が照らし出される。

その手にはナイフ。


桐生「ひっ」


驚き、恐怖し、身体を動かすことができないようだ。


ひたひた


男の目の前に立つ。


?「大空ツバキさん、正確に言うとその後ろにある大きな組織から命令されて殺しにきました」

桐生「な、なんで」



この人に怨みはない。

楽に死なせてあげよう。


首にある総頸動脈をナイフでざっくり切る。

意外と漫画やアニメのように軽く切っただけでは死なない。


殺す気で切る。


血が滝のようにでる。周りが赤で染まる。血の海だ。

出血多量で意識不明になりそのまま死ぬだろう。優しい死だ。眠るように死ぬ。


桐生「もうすぐ...終わる...終焉が..くる」


息絶え絶えにに最後の言葉を残す。

血が首から相変わらず溢れ出ていて呼吸することが難しそうだ。


終焉。俺には関係のないことだ。未来のことなんて。今をただ生きる。ただ生きるために殺す。それだけ。



意識がなくなった桐生から立ち去ろうとした時ポケットからカードが落ちる。


そのカードはジョーカー


?「ぷっ...あははは」


思わず吹き出す。楽しいことを思い出した。

そのカードが落ちたことに運命を感じる。

神という存在が暇つぶしに定めたお遊び。

俺たちはそのお遊びの中で踊ることしかできないピエロなんだ。


そう、ジョーカーのように。






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