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姫様の仰せのままに  作者: 山田 龍花
穏やかな日常
5/7

四話 狂乱に笑うピエロ その名はジョーカー

秘密基地には全員が集合していた。

誠治は筋トレ。

麗は勉強。

勝はカイにいじめられている。

斉はソファーで寝ている。

基本いつもこんな感じだ。

ただ集まり自分の思うように行動する。そしてたまにみんなで協力し合う。

それはとても心地の良い場所。

ここにずっといたい、ただ純粋にそう思わせてくれる。他人と繋がる喜び。それをこの場所で教えてくれた。


僕は琴美に勉強を教えてをいる。

どうやら今日のテストで追試が確定したらしい。まったく答えがでずテストは白紙。

そのままだと先生に悪いからと僕ら七人の似顔絵(誠治はブサイクにした)を描いた。アホの子だ...

なんとも可愛らしく頭をなでなでしたくなるのだが、そこをぐっとこらえ心を鬼にする。

置いてあった赤のハチマキを頭に巻く。


翼「気合い120パーセント。スパルタでいきます」

琴美「いやらー。翼くんのオニー、強姦魔」

翼「ふっふっ。そうさ、僕は君の脳みそに強行侵入して想像力をつかさどる前頭葉をレイプっちまうのさ...ってコントしてるばあいじゃない」

琴美「なんで勉強しなきゃいけないの?嫌なことをさせるなんて、先生たちは私をいじめてます。訴えます」


はあ、琴美の将来が心配だ。


翼「先生たちは琴美の将来を思って、勉強させているの。愛のムチなの」

琴美「翼くんの愛!!」

翼「違う!とにかく勉強。教科書の三十ページ開いて」


どうにかしてやらせる。麗はしっかり勉強をしているのにどうしてこうも姉妹で性格が違うのか。疑問。




翼「そこはYを三角定理の方式を使って分解...」

琴美「もうやだ〜。死ぬ、いや死ぬね」


はやくも集中力が切れる琴美。まだ15分ぐらいしかたっていない。

誠治が筋トレを終え、こっちに来る。

そしてみんなの注意を自分に向けるように手を上にあげた。


誠治「今日もゲームするか」

琴美「よっしゃー。やろやろ」

くそ、いませっかく教えていたのに。無念。


秘密基地の雰囲気ピリピリとした緊張感のあるものに変わる。


ゲーム。それはシンプルな勝負を強要する永遠に終わることのない遊び。ビリの人間には罰ゲームが課せられる。金欠の翼にとってそれは死活問題なのだ。

どうしても勝たねば。るんば。るんぱ。


みんなが大きな机に集まってくる。

気合いがビシバシ伝わってきます。


勝「でっ、今日は何をやるの?」

一同が息をのむ。

誠治「ババ抜きだ」


〜ババ抜き〜

それは運が大部分を占めるトランプゲーム。しかし、それゆえに人々のまえでは平等。

幼稚園児でもできる。だがここまでが一般的な解釈。最後の最後は心理戦になることを知っているものは少ない。


誠治がトランプをきり、みんなに配る。


まずは同じ数字のカードをゴミと呼ばれる場所に置いていく。


僕の手持ちは4枚。ジョーカーはなし。まあまあだ。


誠治「じゃあ、俺から時計回りな」


誰かが意見を言う前にすでに始めている。

さすが我が道を行く男。


メンバーが次々と相手のカードを引いていく。僕の番になる。次は麗か。


麗の手に持っているカードを見る。一枚しかない。


翼「!?」

いっ一枚しかない?

翼「あれ、他のカードはないの?」

麗「はい。このカードだけです。他は全て数字が揃いましたから」

さすが金持ちの条件には必要だということだろう。確信。

しょうがなく麗の最後の一枚を引く。

麗「やったー。一番乗りです」

だがまだ終わりじゃない。ビリにならなければいいんだ。


その後も続いていくが、なかなか上がることができない。みんなが上がっていくたびに、焦りが比例していく。

僕とカイと勝が残った。


僕のカードは二枚。勝が三枚。カイが二枚。

僕はカイの右のカードを引こうとする。


あれ、引っ張っているんだけど取れない。カイが指で強く握っているせいだ。


翼「あのーカイさん?カード取れないんですけど」

カイ「あん?早く引けばいいじゃないか」


いや、そう言われましても取れないんですけど...しょうがなく左のカードを引く。


やっぱりジョーカーだった。くそ。


カイ「よし。上がった」


カイのカードが無くなる。なにが「よし」だよ。おもいっきりずるだ。


だが、ここまでは神が決めた運という存在に頼ってきたに過ぎない。ここからが本当の勝負だ。勝、君には悪いけど僕はビリにはならない。


勝「翼と俺だけか...へっ、真剣勝負だぜ」

翼「僕は負けないから」


まずは勝が僕のカードを引く番。

手で僕の2つのカードを交互に持ち表情を見比べてくる。


勝「どっちかなー?」


ジョーカーでないカードのときに一瞬わざと表情を曇らせる。僕は俳優。AV男優。

そう自分に言い聞かせる。


勝「へっへっ。お前、顔にでちまってるぜ」


引っかかった。

勝がジョーカーではないカードを引く。

どうだ心理戦を勝つものがババ抜きを制す。

て、あれ?


勝「はい。翼のまけ〜」


ビリ。

それは死刑を宣告された囚人のような、愛するものを殺されてしまったような、絶望。


翼「なっなんでわかった?」

勝「だーかーら、お前顔に出てるんだよ」


そんなバナナ。僕の完璧な演技が..


誠治「よし。ビリの翼。みんなの分のハンバーガー買ってこい」

翼「うっうう」


支出

ハンバーガー100×6×2+250(カイにゲログマのオモチャがついているぱっぴーセットを買ってと頼まれた)=1450円


自分が嘘をつけないことを知るには高すぎる代償だった。

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