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姫様の仰せのままに  作者: 山田 龍花
穏やかな日常
4/7

三話 僕らの秘密基地

僕らは靴箱にいた。

琴美「あーあ。もう学校着いちゃった。」

翼「楽しい時間はすぐ過ぎてくからね。」


琴美と斉は僕たちより1学年下だ。

つまり、高校一年生。

彼女たち、一年生の教室は1階。

僕たち二年生は3階。

ここでいったんお別れだ。


琴美「あっ!そうだ。今日も秘密基地いくよね?」


琴美が振り返って聞いてきた。


翼「うん。もちろん」

琴美「わかったー」


斉は琴美の後ろについていった。


階段を上っていく。

誠治「たく...この階段だり〜よ。麗、お前の金でエレベーター作ってくれよ。俺専用の」

麗「それは無理ですね」

誠治「なんで?」

麗「誠治さんの命令に従いたくありませんから」

勝「ぷっ。誠治は人望がないな。そんなちゃらんぽらんで薄い人間だからだよ」

全員の心の中でお前が言うなとツッコミを入れていたと思う。


誠治「じゃっ。放課後」

カイ「放課後に」


誠治とカイは僕とは違うクラスだ。勝と麗とは同じクラス。

階段を上ったところで二人と別れる。

誠治とカイは伊集院ファミリーから個性溢れる個人になった。




三人で教室に入っていく。

クラスメイトがみんなこっちを見てくる。

視線が痛い。

おそらく麗のことを見ているのだろう。

彼女は目立つ。

顔良し。頭良し。性格良し。しかも、財閥の娘。しかし彼女は全く注目されていることを自覚していない。

その天然が良いところでもあり、悪いところでもある。彼女は真ん中の列の前から3番目の席に座る。


僕は窓際の一番後ろの席に座る。

この席を翼は気に入っている。

窓から入る爽やかな風。

大きなビル、その後ろに見える山。景色を楽しむこともできる。寝ててもばれない。

しかし一つ問題がある。

隣が勝なのだ。席に座り足を組みながら鼻をほじっている。その手で触られたくない。


勝「なあ、チャイム鳴る前にトイレいかない?」

翼「やだよ。勝と連れションなんて」

勝「いいじゃねーか。男の友情だろ」


無理やり引っ張られ、連れていかされる。

勝は個室に入っていった。


翼「大きいほうかよ!!だったら僕こなくていいじゃん」

勝「俺のウンコのにおいを嗅げ。ふはははは」


なんという自己中心的性格。

この点では誠治ととてもよく似ている。

これでもてるんだからムカつく。

トイレ掃除の為のほうきを勝の入っている扉に固定する。これでトイレから脱出することはできない。


勝「ふー。スッキリ。あれ、扉が開かない!?おい、翼、助けてくれ」


無視。もうすぐチャイムが鳴る。クラスに向かって歩き出す。


勝「つーーーばーーーさーーー!」


朝礼後、トイレに行った男子生徒によって勝は助け出された。先生はいつもの遅刻だと思っていた。後で覚えておけよと言ってきたがおそらく自分が忘れているだろう。単細胞だから。



授業終了のチャイムが鳴る。放課後になった。僕は寝ている勝にマジックで顔にいたずら書きをし、帰りの支度をしていた麗に近寄る。

何も言わなくてもどこに行くかはお互いわかっている。

これぞ以心伝心!!


翼「じゃあいきますか」

麗「勝さんは?」

翼「疲れているらしいから起こさないでだって(嘘)」

麗「そうですか」


支度を終えた麗と一緒に学校の最南端に向かう。そこには南京錠でかけられた扉がある。

別名「あかずの扉」

誰もそこが何に使われているのか知らない。そのため学校の七不思議の一つに加えられている。実際はただ使い道がなかっただけというシンプルな理由だが。


翼「まだ誰も来ていないみたいだね」

麗「そうみたいですね」


カチャカチャ

翼がカギを使って南京錠を解き、開かずの扉を開ける。

ちなみにカギは七人全員が持っている。



教室一個分のスペースにイスやソファーが置かれている。他にも本棚、調理する為の携帯用コンロなど様々。全てここでの活動をより良くするために各自が運んできたものだ。


翼「よっこらせっと」


本棚から本を取り出し、ソファーに寝そべる。


麗は自分専用のイスに座り楕円形の大きな机(男勢で廃品置き場から持ってきた)で勉強をしている。

真面目な顔もかわいいな。心の写真に焼き付けておいた。思い出はプライスレス...




秘密基地

この場所を誰かがそう呼んだ。

この世の悪意から互いに身を守るため、欠けたものを補うように僕らは集まった。


それは一人を作らないための優しい場所。







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