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episode1

「ず、ずっと前から好き、でした・・・///」


何回も聞いた愛の告白。


「付き合ってください!!///」


耳がタコができるほど、聞き飽きたその言葉。


でも本当はみんな私のお金が目当てで。

本当は私のことなんて好きじゃないわけで。


最初は本当に嬉しかった。モテてるんだって。自分のことを好きだと信じてた。

でも、ある時、聞いてしまったんだ。


「お前、あいつにマジで惚れてんのか?」

「はぁ?


――誰があんなの。だってあいつ金持ちじゃん(笑)」


涙が出た。悲しくて悲しくて、でもそれを信じてた自分が馬鹿らしくて。

それから何度も何を言われても私は信じない。


昔の私に戻らない。

もう、貴方たちの言葉なんて信じない。

貴方たちの嘘になんか騙されない。


そう、決めたから。


私、吉本紗月《よしもとさつき》は吉本財閥の1人娘で、もう人を好きになんかならないと心に誓いました。



目の前にはあるカップルが1組。手をつないでいちゃいちゃしてる。最近はこういうのをよく見かける。まぁ高校生だしね。いいんだけど。いいんだけどさ、家とか他でやってほしい。昔、そういうのを経験した私にとってはイライラする。

それから何でそんなに人のことを好きになるのかなって思う。だって浮気ってよくあるから。浮気ってわかる?自分と付き合っている、自分のことを好きなはずの男子が、違う女子を好きになるってこと。つまり自分のことはもう好きじゃない。自分よりのその女子の方が好きってことだよ。


浮気なんてされたら悲しいだろう。ならさ、人なんか好きにならなければいい。好きにならなかったらそんな悲しみなんてなくなる。



そう、思っていたけれど。実際悲しみは一緒で。私の周りでも彼氏が出来る子が多くなってきて、一緒に帰る子もいなくなった。休み時間になると、彼氏の教室に行ったりして私1人。ものすごく孤独で悲しくて。

それが、彼氏のいない、好きな人もいない、好きになんかなりたくもない、私の唯一の悲しみ。孤独。寂しさ。


そんな感情が消えればいいなんて思うのは毎日のこと。毎日、カップルを見てイラつきそして良いななんて思う。きっと楽しいんだろうなって。きっと私が抱えている感情なんて抱いてないだろうなって。そう思うと、彼氏がいるのも悪くないんじゃないかって。


だけど、そんなことは無理。好きになろうって思っても、昔のことを思い出して踏み切れない。どうせ、お金目当ての人間だって。私が好きでも相手は私のお金が目当てできっと好きになんてなってくれないだろうって思ってしまう。


だから、私は今まで1度も彼氏ができなくて、1度も好きな人すらできなくて。悲しい寂しい高校1年間を過ごしてきました。それはきっと今年も同じ。来年も同じ。

今年は彼氏のいない子とつるんでいこう。孤独なんて感じないくらい楽しい1年にしよう。彼氏なんかいなくても好きになんかならなくても楽しいんだぞって。


――そう、自分の心に言い聞かせていこう。




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