02
何か……色々突っ込み所多い学校だな……。
貰ったペットボトルの水を飲もうとしたけど、エナジー系ドリンク以上の効果がある、謎の水なのでやめておいた。
サイコパス診断カウンセラーと入れ替わりで、また誰か入って来た。
「…………ッッ!?」
ここは高校だよね……? 身長150㎝ぐらいの、小柄な可愛い系の男子……。
金髪のマッシュウェーブ。黒のニットベストに、黒シャツの襟下に緑のリボン。
緑のショートパンツに黒のハイソックス。
茶色のローファーを履いた、お坊ちゃん風な人。
その後に、身長170㎝ぐらいの、ツーブロックショートウルフの黒髪。
緑のカーディガン、白シャツに黒ネクタイ。
黒のクロップドデニムのハーフパンツに黒の編み上げブーツ。
最後は、黒の中折れストローハット被った、175㎝ぐらいで黒ブチメガネしたモデル体系。
銀髪で、長さ残しつつトップにレイヤー。
ランダムなスパイラルパーマで、長め前髪で耳だし。耳には、ポディピアス有り。
緑のジャケットの下は黒Tシャツ。黒のクロップドパンツにレザーサンダル。
とりあえず、個性的な方々が来られました……。
左から、お坊ちゃん、ツーブロック、ストローハットの順で座った。
誰が、一番偉い人……? とりあえず、ショタではないだろうと俺は思った。
今の所、お偉いさんは真ん中。
━━って事は、ツーブロックがお偉いさんだな。
「喋れよ!! お前が、喋んねーと始まらねぇだろ」
「ああ、そっか。そうだねー……。面倒くさ……。
どうも、緑会です。はい、どーぞ」
「えっ……?」
青い紙袋が、テーブルを滑って俺の前にきた……。
「おい……。ちゃんと、説明しろって!!」
「ええー……。先月しまくったから、あんまり喋りたくないんだよね……。ダルいし」
「あははっ!! ロアちゃん、マジウケるー!!」
「…………」
無気力なお坊ちゃんに、怒鳴るツーブロック……。クッソ笑ってるストローハット……。
待って……。お前が喋らないと、始まらないって……。
お坊ちゃんが、お偉いさんっ!?
「どうも。緑会、会長の抹茶馬場炉亜です」
「副会長の宇治金時です」
「書記の抹茶烏龍でーす。ヨロシク~」
だから、3人とも緑が入った服着てるのか……。
緑会の意味が理解出来ました……。てゆうか、ネーミングセンスすげぇな……。
「一応名刺。捨てても構わないから」
「ありがとうございます……。……ッッ!?」
抹茶ババロアは、全て漢字で鼻水が出そうになった。
宇治金時さんと抹茶烏龍さんからも名刺をいただいた。
抹茶馬場炉亜さん、けだるそうに頬杖ついてるけど……。
本当に、やる気ないな……。この人……。
「会長……。せ・つ・め・い!!」
「んー……。ダメだ。モチベーション上がんないや……。
察してよ、宇治金……」
「俺だって上がんねぇよ……。辛いけど、仕方ねぇだろ……」
「まあ、新入生の前だからさー。そのネタは、控えようよ。
しゃーない。今日は、俺と宇治金で頑張ろっか~。
ロアちゃん、明日ランチ奢ってね~」
「喜んでー。ありがとう、烏龍……」
「まあ、今日は、無気力だけど……。コイツが会長な。
緑会は、生徒会みたいなもん。普通の生徒会と、ちょっと違う所はあるけどな。
女子にも会があって、女子と男子じゃ若干ルールは違う」
「まあ、安心して~。男子は、そんな厳しい規則ないから~」
「校則ですか……?」
「一応学校だからね。全体的な規則が、男子と女子でちょいちょいあるって感じかな。
まあ、詳しい事は、ロアちゃんが渡した紙袋の中に入ってる分厚い説明書読んでね~。
分かんない事は、クラスメートに聞けばいいよ~。
あっ!! そうそう。はい、制服!! デザインは俺~♪
カスタムは自由だけど、必ず学年が分かるようにしてね。
例えば、シャツとネクタイは残してもらって、ジャケットとパンツのチェンジは有りって事。
━━後、男子は緑の服着るの禁止だからヨロシク」
「えっ……? 何でですか……?」
「ここはね、会カラー指定になってる色の服を着ちゃダメなの。
早い話が、偉い人が誰かすぐ分かる為だよ。
創立の時に、本部の方がそういうルール作ったみたいでさ。
見て分かってると思うけど、緑会のカラーは緑。
だから、緑の服は禁止。ちなみに、靴や装飾品はOKだから」
抹茶烏龍さんは、校則について説明してくれた。
かなり大ざっぱな説明だったけど……。
女子は、美容会って方々がトップスリー。
3人とすれ違う時は、礼をする事。
美容会のカラーは赤。女子は、赤の服禁止。
靴やネイル、装飾品も禁止。OKなのは、化粧のみ。
ちなみに、私服は赤も緑もOK。禁止カラーは、学校内だけの話で安心した。
「あっ、Sの件って本に載ってるっけ?」
「載ってんじゃねーの? 後は……ロア、カードは?」
「紙袋~」
「何でも詰め込むなって……。青い紙袋の中に、カードが2枚入ってる。
1枚は、マンションのカードキー。もう1枚は、キャッシュカード……。
クレジットカードって言った方がいいかな?
これ、いつも迷うんだよな。どっちで説明するか」
「適当でいいのに。真面目だね、宇治金……」
「…………」
俺も、どっちでもいいけどさ……。とりあえず、カードで金管理するって事だよね……?
「ここは、毎月25日に小遣いもらえる。金は、全てキャッシュカードの中な。
学¥のコンビニやレストランの支払い、ショッピングモールでの買い物、 娯楽施設の入場料、通販の支払いはカードで支払いだからなくすなよ。
部屋にパソコンあるから。パソコンで、カードの暗証番号の設定しといて」
「小遣いに関しては、細かい詳細があるから。それは、説明書で確認しといてー。
新入生は、入学祝いで5万貰えるよ。よかったね♪」
「やけに。待遇いいんですね……」
「当たり前じゃん……。楽¥だからね、ここは……。
殺されるかと思った? よかったね。今日から、セレブ気分が味わえるよ。
人生のリセットなんて、普通に生活してたら味わえない。
まあ、短いリセットだけどね……。
新しい自分が、今日出来たんだからさ。割り切って楽しみなよ。
今までの自分は、もう居ないんだから……」
『じゃあ、新生活楽しんでね』
緑会の方々は、俺に笑って部屋から出て行った。
抹茶馬場炉亜さんの笑顔は、感情のない冷めた笑顔だった。
俺はその時、無気力の小さな少年の、本当の顔を見た気がした……。