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エルシド視点・1話

 雲ひとつない空を見上げ、中庭へと歩みを進める。

 綺麗に刈り取られた芝にの上に真っ白な布が広げられ、目の前の向こうへ導くかのようにつづく。


 今日の為に作られた道。

 そこを真っ白な正装を着てオレは歩く。


 今日は特別な日だ。


 浮き立つ気持ちを表に出さないように気をつけながら平静を装う。

 注意しないと、つい顔が緩んでしまいそうになるので困るのだ。


 この国の騎士団は大きく2つに別けられる。

 実力重視の緋。

 そして、血統重視の蒼。


 細かく言えば、そこからいくつかに別けられるのだが、オレの所属する騎士団は蒼。

 それも王族専属聖騎士団だ。


 オレの一族は血統だけはいい。

 王族に近い血統。

 一族の当主は兄なので、騎士として名を上げることに集中できたおかげか、気づけば副団長の地位までのぼりつめることが出来た。

 蒼の副団長と言えど、緋の副団長達に力で負けることはない。

 緋の王族専属騎士団の副団長ゲシュトとは力が均衡している仲で、ライバルであり親友でもある。

 血統だけの副団長と言われるのには我慢ならず、必死に自分の力を磨いた。


 気づけば年齢は24歳になっており、完全につがいの相手を見つける年齢を過ぎていた。

 もちろん、それまでに一族からつがいの相手を見つけるように煩くは言われていたのだが、発情期が来ないのではどうしようもない。

 

 一般的には20歳前後で発情期がくる。

 発情期がくればつがいの相手を見つけるのが普通だ。

 個人差もあるので、多少前後するものの、雄も雌もそのくらいでつがいとなり子を生む。


 当然相手は自分より血統のいい者を選ぶ。

 自分よりも優れた相手を選ぶことは我々の本能なのだろう。

 だからいつか自分もそういう相手を選ぶものだと思っていた。


 けれど発情期が来なければどうにもならない。

 たった1つの方法以外は……。


 稀に本能に反し、発情期もないままつがいの相手を選ぶ者がいる。

 それは本能ではなく心で選ぶのだ。

 つまり、メスに恋をすること。


 恋をすると発情期が来たり、発情しなくてもメスと交尾することができるのだ。


 しかし、そんなことは本当に稀だ。

 これだけ大きな騎士団でも恋をしてつがいになった者は数名しかいないほどだった。


 だから自分が恋に落ちるなど予想もしなかったのだ。




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