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七話

 愛している人に求愛されて、死んでもいいと思えるほど嬉しい。

 でも、受け入れれば、エルシルド様の未来を閉ざしてしまう。

 そのことが踏み出す勇気を奪っていく。


 悲しくて、苦しい胸に泣きそうになっていると、オパルが私の肩に手を置いた。


「オパル?」

「エレーナ、どんなに苦しくても貴女はエルシルド様がいいんでしょ?」

「え……?」


 オパルの言う通り、私はエルシルド様がいい。

 もう他のオスを愛することが出来ないほどに……。


「こんな寮のまん前、みんなが聞いている中、大声で求愛すればあっという間に噂になるのわかっていて求愛してるのよ? 苦労することも覚悟して、それほどあなたを求めているんじゃないの?」

「……」


 オパルが置いている肩とは反対の肩が叩かれる。


「悔しいけど、あれほど断言してるんだもの。貴女以外は誰もつがいに選ばないと思うわよ?」


 また誰かに肩を叩かれる。


「あなたみたいなまじめで純粋な人が、尻尾を絡めたのなら気持ちがわかるわ」

「エルシルド様みたいな素晴らしい人とつがいになれるなんて奇跡よ!」

「苦労しても愛する人と一緒にいられることは何にも勝るって!」


 周りにいたみんなが次々と私の肩を叩いていく。


「ほら! 飛び降りちゃえ!」


 誰かが私を強く押し出す。


「幸せは自分でつかまなくちゃ!」


 誰かの言葉に押されるように、私は窓のふちに足を掛けると、何のためらいもなくエルシルド様へ向かって飛び降りた。

 エルシルド様は私を危なげもなく、大切そうに優しく受け止める。


「気持ちは決まったのですね」


 後ろからガーディアンの声が聞こえて振り返る。


「はい!」


 私の迷いのない返事に、ガーディアンが微笑むを浮かべた。


「貴女の幸せをみんなで祈ってますよ」

「マリアさん、ありがとう……」


 優しいガーディアンや仲間に見送られて、私はエルシルド様に抱きかかえられて寮を後にした。


 愛し、愛され、そして私はエルシルド様のものであり、エルシルド様は私のものとなった……。


 私達のことは、後々まで言い伝えられるほど、身分差の大恋愛物語として語り継がれたと聞く。

 こうして叶うはずなかった私の想いは通じ、ハッピーエンドを迎えたのでした。

 





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