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第二章1-1 到着!そして、王都の宿屋で ◆ 

人物紹介は手の空いたときに行いますのでとりあえず話を進めます!

――――キルア――――



「おお・・・」



自然と息が出た。


遠くからも見えていたが、近づくとここまで大きな物だとは思わなかった。


王都を囲むような、白く分厚い城壁。中央にある大きな城。


まさかここまでとは・・・。



「キルア様、そろそろ門に着きますので、いつものように身を隠してください」



ユリアがマントを手に持って渡してきた。



「わかった」



また身を隠すことになるのか・・・。



「キルア様。私も身を隠したほうがいいでしょうか?」


「ん? ナターシャは隠さなくてもいいんじゃないか?」


「いえ、ナターシャはダークエルフなので身を隠しておいたほうがいいです」



ユリアは、自分が今まで来ていたマントをナターシャに渡す。


面倒だが仕方が無いか、また拝まれたりするのは嫌だし。


門がどんどん近づいてきた、2人の門番が入り口を塞ぐように、それぞれの持っていた槍を交差させる。



「キルア様、ナターシャ。門番には私が話しますので2人は話さないでくださいね」



声を抑えながら、我とナターシャに注意を呼びかけてきた。


黙ってうなずき了解の合図を示す。


門番の1人が近づきユリアに通行許可証を求めている。


ユリアは、懐から出し、門番に見せた途端。門番は素早く道を開けた。


ユリアが軽く門番に会釈して、荷馬車を進めるように、ナターシャに促す。


大きな門を潜るとそこには、別世界が広がっていた。


白く綺麗に舗装された石畳の道路。そして、その道の両側に広がるレンガ造りの家々、遠く先には、大きくて真っ白な城。


まるで、物語に出てくる世界がそこに広がっていた。


もう言葉も出ない・・・。純粋に賞賛したい気分だ。


人間と言う生き物は集まるとここまで大きな建造物を作れるのか・・・。




王都の大通りを荷馬車の荷台からキョロキョロしながら観察する。


王都が見えてから実際に着くまで時間がかかり時刻はもう夕方になっていた。


人間の夕食や酒場が発する美味そうな匂いに、自然とよだれが溢れそうになる。



「ユリア! 食事しよう! 食事!」


「あっ、はい、そうですね。今からでは、城に行っても入らせてもらえないでしょうし、どこかで宿を取りましょう」


「あの、ユリアさんは、もともと王都に住んでいたんじゃないんですか? 実家に泊まれば宿代がかからないのでは?」


「いえ、私の家は城にありますから、それに孤児なので実家も無いんですよ」


「えっ、!? そうなんですか?」


「そういえば、言っていませんでしたね。私はこの国の騎士で、城の兵舎に一室貰って生活しているんですよ。それもあって、今から城へ行くのではなく、近くの宿に泊まるほうがいいんですよ。キルア様も限界のようですし」


「ああ! なんでもいいから早く食事したい!!」


「そ、そうですね・・・確かに、早く宿屋で食事を摂らないと、キルア様が騒ぎ出しそうですし」



ナターシャが荷馬車のスピードを速め、近くの宿屋に入る。




宿屋の主人に2人部屋の一室を借り、代金を払う。


3人分二食付きと荷馬車の馬のエサ代含めて、銀貨5枚だった。


とりあえず、荷物を借りた二階の部屋に置き、宿屋の一階にある酒場で夕食を食べた。


残念ながらメニューはいつもと代わり映えしなかったが、いままでで最高の美味さだった。


料理人と食材がすごく腕がよかったのだろう。


ユリアもナターシャもいつもより食の進みが早かったような気がする。


腹を満たした後は、風呂、そして就寝だ。


久々にタオルで体を拭くだけではない、きちんとした風呂に入れる。


この宿屋では、風呂は別料金になっていたので、宿屋の主人に2人分の風呂の代金を払い部屋に戻り準備が終わるのを待つ。




しばらくすると、部屋の扉をノックされ、宿屋の主人の娘から準備が終わったと教えられる。


宿には風呂場は2部屋あり、1人ずつ分かれて入るような作りになっていると教えられた。



「じゃあ、ユリアも行くか?」


「そうですね。明日は、早く起きないといけませんし早く入って寝ましょうか」



そういうことなので、3・・で一階の奥にある風呂場に向った。


宿屋の娘に案内され、風呂場の前に来るとそれぞれに《・・・・・》別れて風呂場の扉を開ける。



「えっ? あっ・・・」



宿屋の娘が顔をいきなり赤らめて、チラチラと見てくる。



「どうした?」


「えっと・・・あの、その・・・今、一緒に入ろうとしている隣の人って・・・女性ですよね?」


「ん? そうだが、何か問題でもあるのか?」


「えっ、いえっ、あ、ありませんっ! すいません変なこと聞いちゃって・・・」


「気にするな、マントでよく分からなかったんだろう」


「いえ・・・マントどうこうじゃないんですけどね・・・」



なんだ? 最後なにかしゃべったか? ぐもっていてよく聞こえなかった。



「さて、じゃあ入るかナターシャ。じゃ、また後でなユリア」


「はい。キルア様」



ナターシャが後ろに続き風呂場へ、入る。



「えーと、すいませんね」



なぜか、ユリアが宿屋の娘に謝っていた。


なにか、失礼なことでもしたのか?


ナターシャに服を脱ぐのを手伝ってもらいながら考えるが、分からなかった。




脱衣所で、2人そろって裸になり風呂に入る。


ナターシャが前に言っていたように湯船に浸かる前にナターシャに体の隅々まで洗ってもらい、湯船に浸かる。


そして、我が湯船に入っている間に、ナターシャは手早く自分の体を洗い終えると「失礼します」と言って、湯船に入ってくる。


もともと、1人用の風呂だったので、必然的に体が密着する。


正直。少々、窮屈だが、ナターシャの体温や肌の感触が全身で味わえるので、すごく気持がいい。


ナターシャも、頬を赤く染めながらも嬉しそうに擦り寄ってくる。


そういえば、ナターシャの態度がどんどんおかしくなってきたな。


出会ってすぐのころは、警戒や緊張とか少なくても好意というものはなく、むしろ嫌悪があったが、夜が明けてみると、好意に変わっていて、それが日を増すごとに大きくなっているようだ。


街を出て初めての野宿のときに、躊躇ためらいも無く裸になり、自分から喜んで毛布の中に招き入れてきた。


そして、我が眠るまで優しく抱きしめてくれた。


ダークエルフが、僕になるとここまで従順になるのかと驚いた。


同じ、僕でもユリアとは大違いだ。


充分に風呂で体を温めた後。体を拭いてもらい、服と着せてもらい、その後、ナターシャが身支度を終えるのを待って部屋へ戻る。


ナターシャに出会ってから、ナターシャになんでもしてもらっているな。




部屋に戻ると、すでにユリアが風呂から上がり寝支度を済ませていた。



「さてと、今日はもう寝ましょうか。明日は城に向わねばなりませんし」


「そうだな。わかった。今日はもう寝ることにするか」


「はい。キルア様」



いつものよう(・・・・・・)に、2人部屋にあるベットの片方にユリア。もう片方に、キルアとナターシャが使い眠る。


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