第一章5-6 奴隷ナターシャの変化その2 ▼
分けた分の続きです。
――――ナターシャ――――
侍女服に私が着替え終わるのを待ってから部屋に戻る。
ユリアーナは、部屋に戻ると、ベットで悩んでいるようだった。
たぶん、私のことだろう。ユリアーナには食事を運ぶ際に一つだけ忠告を受けたことだし。
「キルア様が魔法を習いたいと言っても教えないでください。キルア様は、魔力が高いので街を消し飛ばしてしまうかもしれないので」
街が消し飛ぶと言われ、初めは冗談かと思ったが、ユリアーナの顔は必死そのものだったので了解した。
それに、あの時は、魔力封印の腕輪があるから魔法は元々使えないと言って断りましたし、今は腕輪が無いので教えようと思えば教えられますし、たぶん、私がキルアに魔法を教えないか不安なんでしょうね。
しかし、キルアの魔力は高いので教えないほうがいいですね。本当に小さな街ぐらいなら吹き飛ばせそうですし・・・。
キルアがユリアーナに声をかけて、お風呂にいかせた。
そのあと、キルアは2人きりになってすぐに、服を脱ぎだし2つあるベッドの1つに入り、私を誘ってきた。
やはり、彼は好色家で私は性奴隷なんですね。
私は、主人から求められたら奉仕をしないといけない。
拒否したくても、私は、まだここがどこだか解らないので、騒がれるとそこで私の人生が終わる可能性もある。
それに、初めては痛いと聞くが、キルアなら優しくしてくれるだろう・・・。
私は、まだ死ぬわけにはいかない。
私には家族が、たった一人の妹がいるのだから。
妹は村を離れて仕事をしているが、もうすぐ戻ってくるはずなんだ。
妹を一人残して死ぬわけにはいかない。
私は、覚悟を決めて、服を脱ぎ、ベッドへ潜り、キルアが行為を楽しみ終えるのを待った。
キルアは「怯えているのか?」と聞いてきた。
私は、恥ずかしかったが、経験がないと言った。
これでキルアが私を気遣い、少しでも乱暴に扱われなければいいのだけど・・・。
キルアは、私を抱き寄せ、胸に顔を埋めてきた。
いよいよ始まるのか・・・。
そう思って、ずっと動かず待っていたが、いつまでも、動こうとしないどころか寝息を立て始めた。
私は、なぜしないのか尋ねた。
やはり、ダークエルフとはしたくないと思っているのかと思って尋ねた。
キルアは、私が尋ねた意味を理解していないのか、それとも言わせたいのか、たぶん言わせたいのだろう聞いてきた。
私は顔が赤くなるのを感じながら、搾り出すように言ったが、キルアは平然とその問いに答えた。
「子作りか、まだこの体になったばかりだから、出来るか分からんな。人間の体に慣れれば出来るだろうが」
私は、言葉に意味がよく理解できなかった。
「人間の体に慣れれば」
そうキルアは言ったのだ。
まさか、人間では無いとは思いませんでした。
しかも・・・しかも、人間ではないとしても、その正体が黒竜だとは思わないでしょう?
まさか、自然界の神が人間の姿でしかも目の前にいて、そしてその僕になったなんて、思わなかったです。
本来、竜は人間が来ない場所に巣を作り、下界に降りることはしないというのに・・・。
しかも、人間の姿をしていることと、下界にいる理由にも驚きました。
ユリアーナがすごい悪人に思えたからです。
というか、悪人でしょう。
いくら、自分の国の王族のためとは言っても、恩を仇で返すとは・・・。
しかも、利点も無いのに、契約をしたこと自体。最悪と思えました。
キルア様は、そんな得も無いことを契約のために守ろうとしています。
さすが、竜ですね。一度契約したら最後まで契約を全うする。
話に聞いたとおりです。
ですが、私は怒りが湧き、声を荒げそうになる自分を抑えて、なぜ、そんな要求をのんだのかと尋ねました。
キルア様は、脅されて契約されたと言いました。
私は、ユリアーナに対して身勝手な人間に対して怒りが湧きましたが、キルア・・・キルア様は、笑顔で私におしゃってくださいました。
「まあ、お前も手に入ったことだし、悪いことばかりではない」
その言葉が私の心を満たし、ユリアーナへの怒りや、これまでの苦労が屈辱が、すべでどうでもよくなりました。
私のような一介のダークエルフごときが黒竜に見初められたのです。
それに、キルア様は、私を奴隷として飼うのではなく、付き従う僕にしてくださいました。
私の目から涙が溢れ落ちシーツにポタポタと落ちていきます。
止めようと思っても止めれませんでした。
涙で視界を滲ませながらキルア様は見つめます。
この方に出会えてよかったと、心から思いました。
親愛を示そうと唇を近づけたとき、ドアが開き、空気をまるで読んでいないユリアーナが怒鳴り込んできました。
すばやい手つきで、キルア様をベッドから引きずり出し、床に座らせて説教を開始しました。
説教の内容を聞く限りそこまで悪い人間ではないようでしたが、これからは、空気を読んでもらいたいものです。
今も私の弁論も聞かずに、鬼の形相で説教をしています。
そのあと、ユリアーナの一方的な説教が終わると、ユリアーナは怒りながら、ベッドに戻り、眠ってしまわれました。
私はすっかり怯えているキルア様をベッドに入るように促し、胸を顔に押し付けるように優しく抱きしめて、眠りました。
胸になにか違和感を感じて朝を迎えました。
違和感は意識が覚醒するに連れて、甘いものに変わり、私の脳を揺さぶります。
目を開けて胸を見ると黒髪の青年が吸い付いていました。
本当なら悲鳴の一つでもあげていてもおかしくありませんが、キルア様の赤ん坊のように安心しながら胸に顔を埋め先端に軽く吸い付いてくる姿は、愛おしくいつまでも見ていて飽きません。
私は、しばらくそのままの状態でキルア様の頭を撫ぜていましたが、だんだんと、感覚が鋭敏になり、耐えられなくなり、キルア様を起こしました。
朝の挨拶を交わし軽く会話を交わし後。キルア様に着替えをするように言おうとしたら、また再び、キルア様が胸を今度は強く吸い付いてきました。
口から、声が漏れ出します。
すぐ近くにはユリアーナがいるので打ち切らないと・・・。
溶かされかかった理性をかき集めキルア様に着替えをするように促す。
しぶしぶ、口を離して、着替えてもらう。
キルア様が着替えたので今度は私が着替えることにした。
また、着替えを見られるのかと、思っていたが今回はユリアを起こすことにしたようだ。
なんといいますか・・・良かったような、残念のような。複雑ですね。
キルア様は、ユリアーナが落ち着いた今を狙って誤解を解いた。
ユリアーナも、昨夜は頭に血が上っていたのだろう。
今は素直に自分の勘違いを認め、謝罪してきた。
そのあと、全員の着替えが終わると、すぐ出発することになって、私が荷馬車を取ってくることになった。
部屋を出て階段を降りる振りをして、ドアに聞き耳をたてる。
キルア様とユリアーナの関係を知るためにとった行動です。
ユリアーナは、キルア様にどんな態度で接しているかにより、ユリアーナと私がどういう立場になるかを決めるためだったが・・・。
聞こえてきた会話は、聞きたかったこととは違い。
私の心に衝撃を与えるものだった。
キルア様が私に対する心。思い。
キルア様は、私を家族とおっしゃってくださった。
家族に首輪は必要ないとはっきりとおっしゃってくださいました・・・。
不良品の性奴隷として、牢屋に商品として並べられていた私に対して、まだ出会って一日しか経っていないのに・・・。
目から、再び昨夜よりも温かい涙が流れ落ちてきました。
嗚咽が漏れそうになり、急いで気づかれないように、その場を離れ、荷馬車が置かれている小屋に入り、溢れ出る涙を止めようと必死に目を擦りました。
私は、私自身に誓うように心の中で改めて、命が尽きるまで・・・いえ、命が尽き魂だけになろうとも、私は、キルア様だけの僕です。
これから、キルア様と王都へ向うために、移動を開始します。
キルア様は、疑うことをしない純粋な性格をしている。
人間は狡猾な者ばかりで、キルア様を利用しようと近づいてくるかもしれない・・・。
私が身をもって守らないと・・・。
ナターシャパート終了です!
また、いつか出しますんで、第一章での人物紹介を最後に簡単にのせますので、第一章は5-7で終わります!
次は王都編!
なんとかここまで書けたので、人物紹介をまで書けたらまた、感想を受け取られるようにしたいと思います。
やっと、第一章が終わった・・・。
評価をもらえると嬉しいです!




