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第一章5-1 ナターシャは我の僕 ◆

――――キルア――――



ナターシャの腕輪を外そうとしたら、いきなりユリアが風呂場へ怒鳴り込んできた。



「なにをやっているんですか!?」


「なにって、ナターシャの腕輪を外そうとしているんだよ」


「外すって! 彼女はダークエルフなんですよ!」


「だからなんだ?」


「危ないんですよ! 闇討ちされたり、逃げられたらどうするんですか!?」


「は? なにをいっているんだ?」


「は? ではありません! 彼女は金貨5枚も払ったんですよ!」


「だからなんだ?」


「ううぅ・・・」


「よく聞けユリア、ナターシャは我の、我だけのしもべだ。お前がどうこう口を出すべきことじゃない」


「それはぁ・・・」


「くどいぞ、我が決めたことに口出しするな」



どうやら、ユリアは諦めたようだ。しゅんと落ち込んでいる。少し言い過ぎたとは思うが、きちんと主従を示しておかないとな。



「ナターシャ、腕輪を出せ、壊してやる」


「えっと・・・はい」



首輪を同じように腕に力を込めて壊す。



「本当によかったんですか?」



ナターシャが探るように、言ってきた。



「当たり前だ。それと、これからは奴隷のように振舞うな」


「私は奴隷ですけど・・・?」


「それは、さっきまでだろう? 今のお前は、我の僕だ」


「わかりました。私はご主人様の僕です」



ナターシャは、軽く微笑みながら、うなずいた。


やはり、笑ったほうが美しいな。


手を伸ばし、ナターシャの頭を優しく撫ぜる。


銀糸のようにサラサラで艶やかでいつまでも触っていたくなる。



「キルア様~・・・」



ユリアが恨めしそうに声を漏らしていが、今は、ナターシャを愛でたい。



「あっ、あのっ、ご主人様?」


「なんだ?」


「もうそろそろ手を離して欲しいんですけど・・・」


「もう少しいいだろう?」


「とりあえず、入浴を先に済ませませんか・・・?」


「それもそうだな、湯が温かいうちに済ませるか。ユリア、お前も入るか?」


「いっ、いえっ! 遠慮しておきます!!」



そう言って、ユリアは風呂場から出て行った。



「まあ、いいか。ナターシャ、ほら入れよ」



ナターシャが入りやすいようにスペースを空けてやる。



「はいっ、入らせてもらいます・・・」



頬を染めながらゆっくりと風呂に入ってきた。


ナターシャが入った分の湯が風呂から少しだけ溢れて流れ出る。


我は、そんなことよりも、肌に触れてくる、ナターシャの肌の感触に酔った。


滑らかでいて、柔らかく、ほのかに温かい。


背中から、ナターシャを抱きしめ感触を味わう。


ナターシャの腰まである銀髪に顔を埋めながら、嗅覚でもナターシャを味わう。



「いい匂いと肌触りだ・・・」


「あっ、ありがとうございます・・・」



頬を染め、恥らうが、首輪と腕輪をしていた時よりも嫌がっている様子も無く、ただ単に恥らっているようだった。


ナターシャの大きな胸や、腰、尻、足と感触を楽しむように撫ぜていく。


ナターシャはその間、唇をかみ締めて口から漏れる声を必死に押し殺していた。




充分にナターシャの肌や髪の感触を楽しんでから、風呂をあがる。


ナターシャはいうと、風呂をあがる頃には、すでに息絶え絶えで、体を小刻みに痙攣させていた。


たぶん。湯あたりという状態なのだろう。




ナターシャがそんな状態だったので、我が、代わりに体をタオルで拭き清めていく。



「ご、ご主人様っ!?」


「なんだ?」


「・・・っ。い、いえなんでもありません」


「そうか」



ナターシャは、一回驚くとうつむいてないも言わなくなった。


まあ、主人に体を拭かれて喜んでいるのだろう。




ナターシャを拭き終わり、自分も体の水気を拭き取ろうとしたときナターシャから止められた。



「キルア様。それは私の、僕の仕事です。タオルをお渡しください」


「そうか、なら頼む」



ナターシャは、タオルを受け取ると優しく、割れ物を扱うかのように水気を取っていく。



「ありがとう」


「はい。ご主人様」



昼間の無表情なナターシャと違い、今度の返事には微笑がナターシャの顔に浮かんでいた。


体の水気を取ってもらった後。ナターシャに服を着せてもらった。


ナターシャは、我の服の着替えを手伝うと、服に手を伸ばし掴むと、一瞬、体をビクつかせたが、すぐに、何事もなかったように手伝い始めた。



「さて、次はお前の着替えだな」



ナターシャが顔をまた真っ赤にした。血行がかなりいいみたいだ。



「わ、私は一人で着替えれますよっ!」


「ん? 遠慮する必要はないぞ?」


「っ! 遠慮じゃありません! そ、それよりも、後ろを向いていてくださいませんか?」


「うーん。お前の美しい体をまだ見たり無いんだが?」


「なっ、なにを言っているんですかっ!」


「そんなに、嫌なのか?」


「嫌と言うか・・・その、恥ずかしいので・・・」


「恥ずかしいか? こんなに綺麗なのにか?」


「もっ、もういいです・・・」



ナターシャは何か覚悟を決めたように、急いで侍女服に着替えだした。


我は、その様子を目を離すことなく見つめ続けた。

 

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