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第一章4-7 商談成立 ダークエルフは我の物 ◆

今回は短いです。


――――キルア――――



奴隷商の老婆が、最初に部屋に戻り、長椅子に座るように促してきた。



「では、商談に移りましょうか」



長椅子に深く腰掛ける。ユリアもすぐ隣に座った。



「あのダークエルフは、魔力も高いですし、まだ若いので、金貨5枚で売りましょう」


「金貨5枚もですか!?」



ユリアが声をあげて驚いたが老婆はすぐにきり返した。



「はい。隷属の首輪と魔力封印の腕輪という魔具を付けておりますので」


「なんだそれは?」


「隷属の首輪と魔力封印の腕輪は、魔力の付与された道具でして、首輪は、言うことを聞かない奴隷に無理やり命令させるための魔具。魔力封印の腕輪は、完全ではありませんが魔力を、つまり魔法を使えなくするための魔具です」



我の疑問には、老婆より先にユリアが答えてくれた。



「それでも高いんじゃないですか? 金貨5枚では、小さな家が買えてしまうじゃないですか」


「そうですね・・・では、金貨3枚では、どうですか?」


「金貨2枚」


「侍女服もお付けしますので金貨2枚と銀貨50枚で」


「うーん・・・」



・・・面倒だな。というか、我が欲しいと思ったものがユリアに値下げさせられていくのは、ムカムカする。



「ユリア待て」


「キルア様なんですか?」


「老婆、お前が最初に言った金貨5枚を払おう」


「なっ、なんでですか!?」


「うるさい。黙ってさっさと金貨5枚を老婆に渡せ」


「はい・・・」



ユリアはしぶしぶといった様子で、金貨の入った小袋から金貨を5枚取り出した。



「はい。確かに金貨五枚です。侍女服はサービスで付けておきますね」


「わかった」


「それでは、しばらくお待ちください。すぐに連れてきますので」



そう言って老婆は奥のドアに消えていった。




10分ほどで老婆がダークエルフを連れて戻ってくるまでの間。ユリアは自分の卑しさにずっと反省しているようだった。


ダークエルフは、さっきの牢屋で着ていた。体の形が分かるほどの薄くて露出の多かったワンピースから、今は、フリルと言うヒラヒラがたくさんついた白いエプロンドレスの衣装を着ていた。


褐色の肌が侍女服でスッポリと、隠れてしまっていた。


それと、さっき言っていた魔具だろう。首輪に赤色の玉が埋め込まれていた。


それにしても、美しい娘だ。


大きな胸に、細くくびれた腰、そして丸い尻、と服の上からでも女を強く感じさせる体に対し、長い銀髪と精巧な顔立ちが落ち着いた淑女を思わせる。


しかし、その瞳は、雰囲気は、このダークエルフが只者ではないと我に伝えてくる。


やはり、買ってよかった。手に入れてよかったと思わせる。



「じゃあ、買い物に戻るか」


「はい、そうですね。では荷馬車を受け取ってきますね。二人は表で待っていてください」


「わかった」


「わかりました」



最後に返事をしたのは、ダークエルフだった。緊張している様子で硬い声音だっだ。


会話を楽しみたいが、とりあえず、ここで会話をするのはやめておこう。


宿屋に戻った後、じっくりこの娘との会話を楽しむか。




ユリアは、すぐに荷馬車を持ってきた。


馬車の操縦をダークエルフに代わり、宿屋に向わせる。




このダークエルフと言葉を交わすのは、とっても面白そうだ。


他の奴隷と態度が明らかに違っていた、この娘はどんな思考を持った生き物なのか知るのが楽しみだ。


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