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第一章4-6 エクタールの市場で買ったモノ? ◆

新キャラ登場!


少しですが

――――キルア――――



エクタールに到着して次の朝。


ユリアと一緒に身支度みじたくを整えていた。


我はいつもの上下黒の貴族服を隠すようにマントをまといフードを目深に被る。


ユリアは、我が渡した赤い服ではなく、その辺の人間が着ているような緑色の服だ。


我が渡した服はどこかの軍服らしいから、街で買い物するときはこの方が怪しまれないそうだ。


二人ともマントを纏うことも出来るが、それでは逆に街の景色から浮いてしまうと注意された。



「それじゃあ、行くか?」


「はい。行きましょうか」



部屋を出て、まずは、宿屋の主人から教えてもらった換金所に向って金貨を両替する。


それから、また宿屋に戻り、今度はやすい部屋を一泊頼んでから本当に出発する。


面倒だが、一泊しか宿を取っていないので仕方が無い。


また、一泊に金貨を使うわけには、いけないそうだ。


教えられた換金所は宿屋から近かったので歩いて向うことにした。


換金所でユリアは金貨を3枚両替して銀貨を300枚にして、その銀貨30枚を銅貨300枚に換えた。


金貨1枚で銀貨100枚分、銀貨1枚で銅貨10枚分だと教えられた。


金貨というのは1枚で、ライ麦パンなら数えきれないほどの買えると教えられたときは驚いた。





ユリアは、換金所から宿までの道で、最初の村で金貨を1枚使ったときのことを話してくれた。


換金所というものが無かったから、村長に金貨を1枚払い、8日分の旅の荷物を用意してもらった。


までは、よかったが金貨1枚払ったわりに、用意してもらった荷物は銀貨にして10枚ほどだったらしい。


ユリアは、あの時は急いでいたので文句を言えなかったが、今度村を訪れることがあればきちんと金貨と荷物の差額分を払わせてやると言っていた。




宿屋に着き、宿屋の主人に今度は銀貨を2枚払い、新しく部屋を借りる。


これまでの荷物は、宿屋の主人に預けていたので、預けた荷物を貰い。新しく借りた部屋に運ぶ。


これで、やっと買い物が始められる。




今度は、荷馬車で買い物に向う。


さっきの換金所を通り過ぎ、街の中心に造られた大通りに入っていく。


大通りに入ると、いきなり人が増えた。


道沿いにある店で買い物したり、道に出て客を呼び込みをしている人間たちの声などが多数行き交い賑わいを見せていた。


我は会話をしないので、荷馬車を操り、ユリアが店の店主と交渉をする。


ユリアが店主と値引きなどの交渉をしている間、暇だったから大通りを観察した。


大通りを観察すると、前の街と違い地面は石畳ではなく普通の地面だった。


それに大通りの両側にある店は、家の中ではなく外で売り買いする出店というものが多くを占めていた。


ユリアは、次々と食料や荷馬車用のマストを購入していった。


わずか、1時間ほどで、旅に必要な荷物を買い終えた。


馬車の後ろには水の入ったたるが二つに、保存の利く食料の入った大袋や小さく丸められたマストが置かれている。



「キルア様」


「なんだ?」


「何か欲しい物はありませんか?」



昨日、考えていた旅に必要な物を短時間で揃えられたのが嬉しかったんだろう。


ユリアが笑顔で聞いてきた。



「欲しいものか、本でもいいのか?」


「ほ、本ですか・・・」


「ん? 何か不味いことでもあるのか?」


「いえ、そんなわけではありませんが、キルア様はどんな本が欲しいんですか?」


「そうだな、魔法の使い方の本とかはダメか?」


「ダメです」


「・・・なんでだ?」


「魔法は危険なのでキルア様は使ってはいけませんと言ったじゃないですか」


「読むだけでもダメなのか?」


「ダメですね。危険ですから」



ユリアの顔はずっと笑顔だったが、途中からまったく嬉しそう見えない・・・。



「童話の本とかならいくらでも買ってあげますよ」


「童話は嫌いなんだが・・・」


「何故です? 面白いじゃないですか?」


「ほとんどの童話で竜は、悪役で最後に首を飛ばされて殺されたり、勇者の剣や鎧なんかも大半が竜を殺して亡骸を加工した物。そんな物語を黒竜の我が読んで面白いと感じると思うのか?」



ゴルドーの家には童話の本がたくさん置いてあったが、そのほとんどが竜が退治されて、救われるという物語ばかりだった。


最初は、美しいお姫様が出てきたり、生活を楽しむ情景などまでは、面白かったが、大体は最後に竜が惨殺される。


人間にとっては、幸せな終わり方でも、竜にとっては、最悪の終わり方である。



「それは・・・。そうですね」



ユリアも我の話を理解したようで、苦笑いを浮かべている。



「えーと・・・やっぱり本は、旅の邪魔になりますし、他のものにしてもらえますか・・・?」


「結局、本はなしか・・・まあ、いいだろう。欲しいものを考えるから少し待て」


「はい。すみません」



さて、どうしよう。


欲しいものと言っても本以外で考えると、食料なんだが、食料はすでに手に入っているし・・・。



「ユリア、あれは何だ?」



道の先に、おりに入った人間がいる。



「えっと、あれは、奴隷商ですね」


「奴隷商ということは奴隷を売っているのか?」


「はい。この街は、農業が盛んなので、畑を耕したり、家畜の世話をさせるための人間を売っているんですよ」


「人間が人間を売り買いするのか・・・」


「はい。あまり褒められたものではありませんが、この街の労働力としては必要なんです」



奴隷についてユリアから説明を受けているうちに奴隷が入れられた檻のすぐ近くまで来た。


檻の中には、首輪を着けられた。子供や大人が別々の檻に入れられていた。



「なあ、あんた達!」



突然店先で客引きをしていた男に呼び止められた。


無精ひげを生やした以外特徴の無い中年の男だった。



「なんですかあなたは、私たちになにか用でも?」


「ああ、そこのフードがさっきから奴隷達を見ていたから、奴隷商に興味でもあるんじゃないかと思ってな」



つまり、我が奴隷を欲しそうにしているんだと勘違いしたんだな。


それにしても、商人にしては、ずいぶんと態度が悪いな。



「俺は、興味など無いが?」


「まあ、そう言わずに、店の中には表に出していない上玉もいますから一目でいいので見てってくださいよ」



男はしつこく奴隷を進めてくる。



「わかった。見るだけならいいだろう」


「キルア様っ!?」


「仕方が無いだろう。一目見るだけでいいと言っているし、すぐ終わるだろう」


「いえっ、キルア様っその一目見ると言うのは、そういう意味ではなくて・・・もう、いいですなんでもありません・・・」


「そちらの、お嬢さんもどうぞ店の中に入って見てってください! 荷馬車のほうは責任持って預かりますんで!」



客引きの男が呼んだ男に、荷馬車を預け、ユリアと一緒に店に入る。




店の中はサッパリとしていて、中央に長いすが向かい合わせに置いてあり、その椅子と椅子の間に背の低い机が置いてあった。


ゴルドーの客間にあった物と比べ物にならないほど質素だった。


ゴルドーは街の中で一番偉い人間らしいから、こいつらと比べたのが間違えか。


店の奥から人相の悪い老婆が出てきた。



「奴隷をお求めですか?」


「いや、客引きの人間に一目見て行ってくれと頼まれたから一目見にきた」


「・・・どんな奴隷をお探しですか?」


「そうだな、一目見るにしても男は嫌いだから女だな」


「女ですね。ではこちらに来てください」



老婆は、手招きして店の奥にあるドアの前まで呼び寄せた。


老婆が店の奥のドアを開けると、通路になっていた。


左と右に分かれていて、老婆は右の通路に進むように言われた。


通路をしばらく進むと、牢屋があった。


牢屋の中には、女が8人押し込められるように入っていた。


首輪をしていることから、全員奴隷だろう。



「どうですか? 全員、処女で若い娘ですよ」



老婆が、一人ずつ、奴隷を紹介していった。


老婆は途中で説明をやめた。



「どうした、最後の娘の紹介は?」



牢屋の片隅にいる銀髪の長い髪の女の紹介をしていない。



「えっと・・・。あの娘は、仕事や外見など優秀なんですが、ダークエルフでして・・・」


「ダークエルフだと何かマズイのか?」


「いえっそれは・・・」



老婆が口を閉ざしてしまった。



「ダークエルフは、魔力が強いですし、寿命が人間より長いんですよ」



黙ってしまった老婆の変わりに、ユリアが説明を始めた。



「それは、いいことじゃないのか?」


「いいえ、ダークエルフは強力な魔法が使えますし、それに変わることの無い容姿は人々の恐怖を誘うんです。なので、ダークエルフの奴隷は売りにくいし買いにくいんですよ・・・」


「そうなんですよ! 礼儀作法や奴隷としての心構えを教え込んでも買い手が無くて困っているんですよ、本当は仕入れたくなかったんですが、いつも仕入れている取引相手から三ヶ月前に仕方なく引き取ったんですよ。まったく、売れないお荷物ですよ」



老婆はヒステリックに訴え始めた。




視線を牢屋に戻すと、偶然そのダークエルフの娘と目が合った。


娘の目は、引き込まれるような青く深い色をしていた。


そして、首輪を着けられながらも、雰囲気は他の娘とは明らかに違う堂々としたものがあった。


一度、目を合わせただけで、わかった。この娘は強い。それも、かなりの強さを持っている目だ。


欲しいもの・・・うむ、見つけたぞ。



「ユリア。欲しいものを買ってくれるんだろう?」


「はい。本以外で手持ちのお金で買えるものなら」


「だったら、そのにいるダークエルフを買ってくれ。いや、いますぐ買え」


「「はい?」」



我の要求にユリアと老婆は、変な返事で返してきたが、関係ない。


今、我はこの娘が欲しい。

すいません、いきなり長くなりましたね。


それに、書き終わるまでの時間も長かったです。


今日の更新はここまでです。


また明日更新します



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