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第一章4-2 ユリアーナのこれからの苦労と方針 ◇

――――ユリアーナ――――



グラールを出発してから2日が経った。




今は平原を抜けて、1つ目の山に入ったところです。


キルア様はグラールを出て、休むと言って眠ってから、未だに目覚めません。


呼吸や体温などからすると、疲労と魔力の枯渇が原因でしょう。


しかし、驚きました。


まさかキルア様が魔法を覚えるとは思ってもいませんでした。


しかも、2日間で・・・。


本来だったら、魔法の習得に10年は修行が必要なのに。まさかたった2日で街を覆うほどの魔法陣を発動させるとは夢にも思わないでしょう。


キルア様に魔法を覚えさせないように興味を持たせないように努力していたが、仕事に行っている間にダークエルフのジーナという女がキルア様に魔法の本を読ませた。


予想外でした。


まさか、キルア様に近づく物好きがいるとは思わないですし、というか、そんなことを考える余裕も無かったんです。


あの時は、宿屋に泊まるためのお金を稼ぐために必死だったから、仕方が無かったんです。




そういえば、キルア様が貰ったお金・・・。


たぶん、街の一年分の税金より多かったと思う。


大きな屋敷がいくつも買えたし、この旅ももっと豪華なものになっただろうに、キルア様は街に置いてきた。


キルア様が稼いだお金なので私からは何もいえないのが恨めしい。


感謝の気持ちとしてもらったんだから、返す必要も無いのに・・・。


結局、所持金は、私が稼いだ金貨30枚となりました。


まあ、私の一日が無駄にならなかっただけ、マシと思うべきでしょうか? 複雑な心境です。


いえっもう、お金についてはこれ以上、考えるのはやめておきましょう。


手元にある金貨だけでも、王都までの路銀として充分ですし・・・。




それよりも、キルア様にこれ以上、魔法を覚えさせないことが大切です。


今は、治癒の魔法しか使えないようですが、他の、補助ではなく攻撃魔法を覚えられたら、マズイです。


キルア様の膨大な魔力を攻撃魔法に変えたのなら街が吹き飛ぶかもしれない。


実際に、グラールの街を覆うほどの魔法陣を描き、治癒の光で街全体を包めたのだ。


治癒の光だったからいいものを、これが攻撃魔法だったら、街は消滅していただろう。


キルア様に他の魔法を覚えさせないためにも、治癒以外の魔法を使わせないように気をつけることにしましょう。




ダークエルフのジーナといいましたか、本当に余計なことをしてくれたものです。


たぶん、ギルドの酒場でキルア様の居場所を教えてくれた。ダークエルフでしょう。キルア様に渡すようにメモを渡されましたし・・・。


そのダークエルフのせいで、私の気苦労は一気に増えました。


キルア様が攻撃魔法を覚えないようにビクビクしながら旅をしないといけなくなりました。


普通のエルフやダークエルフは、人間に嫌われていることを理解しているから、ダークエルフの方から話しかけることはまずないと言うのに・・・。



考えながら荷馬車を進ませていたら、もう夕暮れになっていました。


そろそろ、キャンプする場所を探さないと。


焚き火をしたいのですが、これから先、キルア様に火を見せるわけにはいけません。


キルア様が手から火を出す魔法を覚えられたら大変ですし、寝ているといっても、何時起きられるか分かっていないので使わないほうがいいでしょう。


森に囲まれた山の中、火も起こさずに、休むのは大変です。


周りには灯りがないので、真っ暗の山の中、魔物や山賊などを警戒しながら休むのは本当に大変です!


この苦労も、ダークエルフが悪いんです!


ダークエルフが、キルア様に魔法なんか教えるから!


私の一日が無駄になりかけたり、キルア様が余計な注目を集めたり、私が無能のように見えたりするんです!




まだ、次の街まで7日ほどかかる。


7日間の間、私はこの暗闇を神経張って不寝番をしなければいけなくなりました・・・。


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