第一章3-1 グラールの神? ◆
――――キルア――――
教会にユリアが迎えにやってきて、すぐ、ユリアは倒れた。
ユリアにお金の入った袋を見せたら、笑い声をあげながら後ろに倒れていった。
「お、おいっ! ユリアっ!?」
「ははは・・・・・」
つかさず、抱きとめる。
「おい、大丈夫かっ? 怪我でも負ったのか? 待ってろ! 今治してやる!」
すぐに床に寝かせ、治癒の魔法を発動し、ユリアの怪我を治していく。
手のひらから光がユリアの体を包み込む。
「おい! 大丈夫か・・・?」
「・・・」
反応が無いっ! 息はしているけど・・・起きない・・・。
「おい! 誰かっ! ユリアを助けてくれっ・・・!」
涙が出てくる・・・怖いっ! どうして起きないんだっ!?
キルアはユリアの頭を抱き寄せ、周りに助けを請う。
救世主の頼みを拒む者はいない。周りの人々はすぐに駆け寄りユリアを調べる。
「この、ねーちゃん。救世主様の光を浴びたんだろっ?」
「ああ・・・確かに浴びた」
「なんで、目を覚まさないんだ?」
「おい、医者はいないのかっ!? 救世主様のお供を死なすわけにゃいかんだろう!」
「そうだ・・・。救ってもらっておいて恩を返さない人間は人間じゃねぇ!」
「私が診よう! 私は医者だ! 皆、少し離れてくれ」
「「ダフネ医師っ!」」
すぐに、ダフネ医師以外の人々がいっせいに距離をとる。
「脈は・・・正常。体温は・・・正常。呼吸は・・・正常・・・?」
ダフネという医者がユリアの手を持ったり、頭に手を置いたり、口もとに手をかざしたりと、調べてくれた。
「おい! どうなんだっ! ユリアは死なないのか!?」
ユリアにしなれたら困る。ユリアに死なれたら・・・一人ぼっちになる・・・。怖いっ怖いっ怖いっ怖いっ・・・!
「えっ。ええ・・・」
こいつはっ! 人間の医者じゃないのかっ!? はっきりしろよっ! 大丈夫なのか、どっちなんだ!?
「えー・・・・。この、ユリアさん・・・? は、単なる疲労によって、意識を失っただけですね」
「大丈夫なのかっ!? 死なないんだよなっ!?」
「は、はい。ご安心ください。今は眠っているだけで決して死にません」
「よっ、よかった・・・。ほんとうに・・・よかったぁ」
涙が溢れる。
よかった・・・よかったぁ・・・今、ユリアに死なれたら、どこともわからない世界に一人にされてしまう。怖かった・・・怖かったぁ・・・。
キルアのことを救世主と認識している街の人間たちは、一人の娘の生命をここまで心配し、涙を流し、無事を喜んでいるキルアの様子を見て、認識を新たにする。
教会は、広場の人間たちは、喜びの涙を流しながらユリアを抱きしめているキルアの静かに、ただ静かに見守り、記憶に心に救世主の慈愛に満ちた光景を刻みつける。
この方こそ、慈愛の神の化身だと。
この方こそ、我々の神だと。
言葉を交わし合わさずに、街の人々は皆、黒髪で黄金の瞳をした青年を神と認識した瞬間であった。
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