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第一章2-9 あれれっ?私の今日の一日って・・・ ◇

――――ユリアーナ――――



私はユリアーナ・セシール。18歳にして王国騎士団に所属し、王国でトップを争うほどの武芸者と称されていました。


そんな私の今日一日を知って欲しいと思います。




グラールに着いて次の日。私は、旅の費用を稼ぐためにギルドへやってきました。




本当は、キルア様を宿屋でお留守番をしてもらいたかったんですが、一泊分のお金しか持っていなかったので、仕方なくギルドの酒場でキルア様にお留守番させることにしました。



私は、ギルドマスターのヨーゼフさんに何かお金になる仕事はないかと思って尋ねました。


まあ、私の特技は武芸しかありませんから、魔物の討伐になるでしょう。


ヨーゼフさんは討伐の仕事があると言いました。


なんでも、ベゼルリッターという魔物が出現してこの街に毒をまき散らかし人を苦しめているとのことです。


広場や民家に活気がなかったのは、そういうことだったんですね。




グラールは、大きい街で、近隣諸国との貿易拠点として重大な街です。


このまま、この街が衰退すると、アルマース王国に重大な影響をおよぼすでしょう。




私は、王国の騎士です。国にとって害になる魔物がいたら討ち滅ぼすのが騎士の役目。


それに、街の人々を見殺しには出来ません。


この仕事は、ちょうどよかったです。


まさに、一石二鳥。街を救えるし、お金も手に入る。



私は二つ返事で了承しました。



ギルドの店員を貸してもらい、ベルゼリッターの住処に案内してもらいました。


決して、無理やりではないです。きちんとチップとして、最後の金貨を差し出しました。



そして、案内された洞窟に入りました。


ヨーゼフさんに貰った。餞別せんべつのたいまつに火を灯し、ロングソードをきちんと鞘から出して進みました。


餞別にたいまつ? と最初は思いましたがこのためだったんですね。



しばらく洞窟を進むと、ベルゼリッターが襲い掛かってきました。


たいまつから手を離し、魔法で光源を作り出します。


戦うのなら両手で剣を扱ったほうが効率がいいですし。


ベルゼリッターは一見、岩亀のようでした。


しかし、そのキバは、その甲羅は、その形状は、魔物特有の禍々しさを体現している姿でした。



私は、強化魔法を使い、速さで翻弄ほんろうしながら、ロングソードで少しずつ、魔物を弱らせていきました。


というか、ロングソードの出来が悪すぎです! 小さな村では仕方の無いことでしょうが、切れ味は木刀と変わらないんじゃないですかっ?



やっとの思いで、一体を倒すと奥からもう一体出てきました。


二体いるなんて言ってなかったよね?



私は、必死になってもう一体を倒しにかかります。


想定外のことで集中が乱れ、ベルゼリッターの突進を完全にかわしきることが出来なくなり、怪我を負い始めました。


本当に、やけくそになって、倒しました。



二体目が倒し終わって、もう他にいないことを確認すると奥に無数の卵が・・・。



ロングソードはもう使えません。


二体目のベルゼリッターに止めを刺す際に、根元・・・から折れました。


ロングソードは二回の戦闘で使えなくなりました。やっぱり、安物はダメですね。



結局、私は卵を強化魔法を手に集中させ、卵を素手で叩き割っていくハメになりました・・・。


軽い、トラウマです。しばらく、卵を食べれそうに無いです・・・。そういえば、そんなお金ないんでした。




持ってきた水で両手やマントを軽く洗い、グラールに戻ることにしました。


一応、証拠としてキバを一本抜くのを忘れません。



街に戻るころには、もうすでに深夜になっていました。



街に戻るとなぜか、いままで外に出ていなかった街の人々が泣き笑いながら喜びを分かち合っているようでした。


何かの祭りかと思いました。人だかりが広場からあふれ、通りまで埋め尽くしていたのです。



祭りには興味がありましたが、今はそれ頃ではなかったので、ギルドへ戻りました。



まずは、ヨーゼフさんにお金を貰うために、酒場を通り過ぎ奥にいるヨーゼフさんを尋ねました。


ヨーゼフさんは、倒したことを報告すると泣きながら喜んでくれました。


そっとしておいてあげたい気持ちもありましたが、キルア様が心配なので報酬を求め催促しました。



ヨーゼフさんは小さい袋を渡してきました。


中には、なんと金貨が30枚も入っていました! それは、次の町まで充分な食料と武器が買える量でした。


にやける顔をおさえながら、キルア様の下へ急ぎます。



キルア様は、酒場を探しても、いませんでした。


私の頭を不安がよぎります。


そんな時、ダークエルフに黒髪の少年・・・つまりキルア様のいる場所を教えてもらいました。


キルア様は、教会にいるとのことでした。



教会は同じ広場でギルドの真正面に建っていました。


教会に近づくにつれ人の密度が増していきます。



やっと、教会の中に入れた頃には、もう疲労のピークを迎えていました。


もう、へとへとです。早くベットにもぐりたい・・・。



教会の奥の中央。司祭様や神父様がよくいる場所に立っていました。


そして、この教会の神父でしょう黒いローブにロザリオを首にかけた中年の男性から大きな袋を貰っていました。



約束を破って、しかも物を恵んでもらっているキルア様を怒ろうと私は近寄りました。


しかし、キルア様の私を見つけたときの、安心したような顔を見たとき。私の不満や怒っていた気持ちが霧散しました。


とりあえず、キルア様に一日の成果を発表しました。


まさか、一日で金貨30枚も稼いでしまったのですから、もう胸を張って自慢しましたよ。


キルア様も喜んでくださいましたし、最高の一日だと思ってました・・・キルア様が貰った袋の中身を見るまでは・・・。



最初はパンを貰ったんだと思ってました。銅貨を数枚しか渡してませんでしたから、ですがキルア様から袋を受け取るとパンの何倍もある重みが・・・。


パンじゃないのかな? と思って紐を解きます。


袋の中に入っていたのは、銀貨や銅貨がぎっしり詰まっていて、金貨も私が稼いだ30枚の何倍も入っていました。



血相を変えてキルアに尋ねると、キルア様は、「病を治したらくれた」と興味なさげに言いました。



・・・・・・・・。・・・・あれ?


私は、今日、結局、要約すると、ロングソードを、壊しただけ?


働きに出た私の稼ぎは金貨30枚。


お留守番していたキルア様の稼ぎは、私の数十倍・・・。


キルア様との金額を比べれば、何もしていないことと同じです。


目の前が真っ暗になってきました。


自然と口から笑い声が出て行きました。


その後のことはもう覚えていません。


気づいたら宿屋で一番いい部屋のベットの上でした。

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