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第一章2-7 ダメな私を今こそ捨てましょう! ◇

――――ユリアーナ――――



ギルドの酒場にキルア様を置いて、ギルドマスターに会いに行くことにしました。


エプロンを付けている店員を呼び止めギルドマスターのところへ案内してもらいます。


ギルドマスターは、酒場のカウンターで飲んだ暮れていました・・・。


どうしたんでしょう? 職務怠慢なんですかね?



「こんにちは。ユリアーナと申します。あなたがギルドマスターですか?」



他の人たちよりも、少しよい生地を使った服を着て、太った老人でした。



「ひっくっ・・・確かに俺がギルドますたーっのヨーゼフだが・・・」



椅子に寄りかかりながら返答してきました。態度が悪いです! それにお酒臭いっ・・・。



「どうしたんだ? なんかようか。ねーちゃん?」



顔を近づけてきました。堪えるんです! 殴ってはいけませんっ! ああっ自然に手が剣の柄に向うのを止めないとっ!!



「大金が欲しいので、なにか討伐などの仕事はありませんか?」

 


なんとか我慢出来ました。



「討伐っていってもなあ・・・」


「ないのですか?」


「いや、あるにはあるんだが・・・」


「大金がもらえるならなんでも倒しますよ」


「今、討伐で大金って言ったら・・・ベルゼリッターの駆除なんだが・・・」


「ベルゼリッターですか・・・聞いたこと無い名前ですね」



まあ、私なら大丈夫でしょう。この辺にいる魔物はそれほど強くありませんし。



「わかりました。お受けします」


「なっ! あんたっ! よそモンだろうから知らねぇだろうが、ベルゼリッターはA級指定の魔物なんだぞ!!」



A級指定ですか・・・。手ごわいかもしれませんね。



「成功報酬はその分高いんですよね?」


「あいつを倒してくれんならいくらでも払うに決まってんだろぉ・・・!!」


「さっきも言いましたが、お金をもらえればなんでも倒します。いくらまで出してくれますか?」


「ううっ・・・お前何にも知らねぇんだな・・・」



何でしょうこの男?? 泣き出しましたよ。こんな老人がギルドマスターでいいんですか? グラールの皆さん。


涙を流しながら話し始めました。



「お前、気づかねぇのか? この町の様子を見て・・・」


「いえ? 人が少ないなとは思いましたが。それだけです」


「なんで、人が少ないんだと思う?」


「さっきのベルゼリッターに関係しているのですね?」


「ああ・・・そうだ。半年前からあいつが近くの森に住み着いて毒を撒き散らし始めたんだよ・・・」


「毒・・・ですか?」


「これが厄介な毒でな・・・発症すればどんな薬もどんな解毒魔法も効かないんだ・・・。発症し始めて、体に黒い湿疹が浮かび上がって、体力をどんどん吸い取っていくんだ・・・。しかも、その毒は発症した人間に触れてもうつる。本当に厄介な毒なんだ・・・」


「だから、街の静かだったんですね・・・」


「あんたも・・・金が欲しいからって無茶するもんじゃねぇ・・・!命は一つしかないんだぞっ・・・! ねーちゃんは薄汚れてはいるが綺麗な顔立ちしてんだから、金よりも愛に生きりゃいいんだろうが」


「・・・・」 



これは、いけませんね・・・。王国の騎士として困っている民を見捨てるわけにはいけませんし・・・。


毒・・・毒ですか・・・。


確かキルア様に毒に効かない体にしてもらったんでした!!



「ヨーゼフさん!」


「なっ、なんだっ? やっぱりやめるか?」


「その毒というのは、死の谷よりも強いのですか?」


「死の谷の毒?? いや、そりゃあ、死の谷の毒に比べたら弱いだろうが・・・」


「だったら、大丈夫ですお任せください!!」


「なっ、なにぃ・・・??」



さくっと、ベルゼリッターを倒して、キルア様に美味しいものを買ってきましょう!


これまで、足を引っ張ってきたんです。これを機会にキルア様にもう、ダメな所を見せないようにしましょう!

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