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第一章2-2 ギルドの酒場にて ◆

――――キルア――――



初めてギルドでお留守番。




今は、丸い大きめのテーブルついて座ってる。


さっき、ギルドの店員らしいエプロンを着た女がやってきて何か飲みますかと言われたので水を頼んで持ってきてもらった。



ユリアが仕事に行って、ずいぶん経つ。


もう昼になっていた。


ユリアから貰った銅貨で食事を頼んだ。


事前にお金について習っていたので何がいくらするのかをきちんと理解していた。


店員に銅貨を三枚渡して、唯一食べたことのある料理のライ麦パンとスープを頼んだ。




料理が来てしばらく食べていると、同じ席に褐色の肌をしたエルフの女がやってきた。


なかなか美しい。銀髪で整った顔立ちで、露出の大きい薄緑のドレスを着ていて、ユリアよりも凹凸が激しい女だった。



「ねえ? あなた新入り?」



声をかけてきた。なんだろう? ユリアからはあまりしゃべるなと言われたが美しい女なのでいいだろう。うん、美しいからいい。



「なんだ?」


「私は、ダークエルフのジーナよ。あなたは?」



エルフじゃなくてダークエルフか。


そんな、種族もいるんだな。



「俺は・・・キルアだ」


「どこから来たの? その黒髪からみて東方から来たの?」



死の谷からやってきたとは言うなとユリアが言っていたな。



「ここから、8日ほど進んだ小さな村だ」


「へぇ、そうなんだ」



なんなんだこのダークエルフ? 



「ねえ、キルア。私と仕事しない?」


「ん? 仕事?」


「ギルドのメンバーなんでしょ?」


「いや、ギルドには登録してない。留守番だ」


「留守番?」


「ああ、しもべにここで留守番するように言われたんだ」



ライ麦パンを頬張る。うん、人間の料理も悪くない。



「いまその、僕は?」


「ん? 仕事だといっただろ? 旅に使うお金がなくなったから仕事しに行ったんだよ」


「いつ帰ってくるの?」


「わからない・・・」



そう言えばいつ帰ってくるんだろう・・・。




ジーナのところに店員がやってきた。




ジーナはメニューから食事を頼んでいるようだ。


銀貨を渡していた。




ジーナのところに本でしか見たことの無い料理が出てきた。


白パンにソーセージ、コップには紫のいい匂いのする水。



「なに? どうしたの?」


「い・・・いやっ、なんでもない」




美味そうな匂いだ。涎が自然と出てきた。




「えっと、食べる?」



ソーセージを一つフォークに刺し向けてきた。た、食べていいのかっ?



「いいのかっ!?」


「え、ええ」




一口でソーセージを食べる。




一噛みするたびにジュワーとうまみを含んだ油が口に広がる・・・!これが肉汁というものか!!


うまい! うまいっ!!



「うまかった!! ありがとう!!」


「ちょ、ちょっとっ!」



ジーナに喜びのあまりジーナに抱きついてしまった。


苦しかったのかジーナの顔は赤くなっていた。悪いことをしてしまった。



「ああ、すまない。こんな美味いもの生まて初めて食べた」



人間の食事とは素晴らしいものだ! 宝石とはまた違ったよさがある。



「えっと、これぐらいなら誰でも食べれると思うんだけど??」


「いや、ライ麦パンとスープしか食べたことなかった。これが肉というものなのかー」


「・・・」



どうしたんだろう? ジーナが黙ってしまった。顔の赤色が完全に消えてしまった。



「どうしたんだ?」


「・・・い、いえっ、なんでもないわっ。そ、その、ごめんなさい・・・」


「何で謝る? お礼を言いたいぐらいだ! ほんとうに美味かった!! ありがとう!!」



なんだ? どうしたんだ? ジーナが涙を流し始めた!?



「ちょっと、待っててね。キルア」



ジーナは手をあげて、店員を呼んだ。どうしたんだろう?




しばらくして、料理が届いた。


白パンとソーセージが目の前に置かれる・・・。


これは・・・。



「さあ、キルア。食べなさい」


「金持ってないんだが・・・」


「奢ってあげわ、食べていいのよ」


「ありがとうっ」



ダークエルフは、なんて親切な種族なんだろう。


食料を分けてくれた。


白パンは柔らかくてモチモチしていた。美味しかった。


食べている最中ジーナは、涙を流しながら頭を撫ぜてきた。


ダークエルフは親切だが変だな。それとも我が変なのか?


まあ、いいか。今は食事だ。


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