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第一章1-7 5日目の報告 ◆

――――キルア――――



生れて初めて来たやってきた村・・・というか拉致された村を出てから5日ほど経った。




ユリアは、相変わらず変だ。


よく食事中に目を潤ませて我を見てくる。


まあ、ユリアが変だというのは、初めて出会った時から・・・というか、言葉を交わし始めてから分かっていた事だから今はいいか。


今は馬車を大急ぎで走らせているところだ。


ユリアは昼間に馬車を走らせ、夜に休む。


というスケジュールをたてていた。


ユリアは村から出ると昼間はずっと馬車の操縦を、夜は不寝番をしていた。


まあ、人間がそんな無茶をすればどうなるかわかるだろうに。




ユリアーナは村を出発してから三日後に倒れた。



まったく、呆れたものである。


馬車の操縦を代わると言っても聞かずに一人でなんでもやってしまうのだからな。


ほとんど寝ずに不寝番をしていたのだ。


体と心に疲労がたまり、朝出発してからすぐにユリアは意識を失った。


我は人間の疲労まで回復させることは出来ない。万能薬と言ってもそれは、怪我と病に対してだ。


筋肉疲労は直せるだろうがそれだけだ。




心の疲労は治せない。




ユリアも知っているだろうに。


今、馬車を操っているのは俺だ。


無理やり役割分担をしたからだ。


ユリアは一日寝たら起き上がれるまで回復して、また馬車の手綱を持とうとしたがやめさせた。


荷台で今は寝ている。


気をつけて欲しいものだ。


我は人間の・・・この体になったばかりだ。


戦かっても勝てる見込みは無い。



ユリアには外敵除けとという仕事に集中して欲しい。


弱い我は、ユリアに守ってもらわないと生きていけないのに。


ユリアが倒れて二日がたった。


もう、体力は回復しているのだろうか?


出発から、これまでは、山賊や魔物に遭遇していないが油断してはいられない。




生きるために、他の命を心配したのは初めてだった。




何百年も生き物に遭わずに一人で生きていた我にとって、ユリアは初めての敵で、始めてあった人間で、初めての認めた勇者で、始めての他人だ。


ユリアや他の人間や生き物と会ってみたい・・・触れ合いたい。


まだ、我は世界の入り口に立ったばかりだ。


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