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陸拾.し、しゃんぷー?ですか?

 (ううー。天国じゃー)


 墨を抱っこしたまま湯船に浸かっていると時間の経つのを忘れてしまう。この2ヶ月半、溜まりに溜まった心の疲れが一気に洗い流されていくようだ。


 (そろそろ身体も洗うかな)


 俺は墨を抱っこしたまま湯から上がると、雪が用意しておいてくれた椅子に座って墨を前に立たせた。


 俺「じゃ、身体洗うからじっとしててねー」

 墨「!」


 俺は石鹸を手にとって手ぬぐいを泡だらけにすると、墨の身体を洗い始めた。


 墨「ひ、ひ、姫さま…」

 雪「竹姫さま。そういうことは私が」

 俺「いいのよ、雪。裸の幼女、げふんげふん、墨の身体を洗う様子を見てお風呂の入り方を勉強してて。後で私の背中や髪を流してもらうことになるから」

 雪「かしこまりました」


 全身を洗ってから桶に湯を汲んで石鹸を洗い流す。さすがの墨もだいぶ湯に慣れたようで湯をかけたくらいで飛び跳ねることはなくなった。


 俺「はい、じゃあ、目をつぶって息を止めて」

 墨「へ?」

 俺「はい、息止めて」


 墨が目をつぶったのを確認してから、一気に桶の湯を頭からかける。


 墨「ニギャーーーーー。ゲホゲホ」


 湯をかけている最中に叫び声を上げたせいで、湯を吸い込んでしまってむせ返った。


 俺「だから、息を止めてなさいって言ったのに」

 墨「姫、ひ、ひ、な、な、な、に」

 俺「髪の毛を洗うんだよ」


 そう言って俺はシャンプーと手に取ると墨の髪を洗い始めた。


 俺「雪。髪を洗う時はね、まず髪を湯で濡らしてから、シャンプーで洗ってからトリートメントをして仕上げにリンスをを使うんだよ」

 雪「し、しゃんぷー?ですか?」

 俺「そう。シャンプーをする時は、頭皮はしっかりとマッサージするように洗って、髪は優しく引っ張らないように洗うのがコツだよ」

 雪「なるほど」


 雪に解説しながら、俺は墨の髪を洗いすすめる。


 墨はその間、目をしっかり閉じて、手をぎゅっと握りしめ、足の指を開いて床板に食い込ませるように爪を立てていた。多分、猫の時の本能がまだ残ってるんだろう。しょうがないやつだな。

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