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後日談第1話先行公開

こんにちは、海月知花です。お久しぶりでございます。


来たる11月1日(火)からいよいよ転生かぐや姫の続編「かぐや姫と天照大神の現代転生録(仮)」が始まります。これは、かぐや姫たちが現代に戻ってからの日常(笑)を天照が憑依した雪の視点から描いた作品になります。


続編は別小説として投稿予定ですが、こちらに第一話を先行公開したいと思います。

 「「「かぐや姫さま、おはようございます」」」

 「あ、お、おはよう……(微笑」


 正門をくぐると大勢の女子学生たちがお姉さまを出迎えるために列を成していました。お姉さまはいまだに慣れない様子ながら、軽く会釈をして手を振って進み、私はその後ろを控えめについて行きます。私たちの新しい日常はこのようにして始まるのです。


 私の名はゆきと言い、平安時代中期に下級官吏の娘として生まれました。そのまま同格の官吏の誰かと結婚して下級官吏の妻として一生を終わるはずでしたが、どういう星の巡りあわせか、お姉さまの侍女(女房)となったことが切っ掛けで神々の世界に交わることになりました。


 お姉さまは「現代」という時代から過去にさかのぼってきてかぐや姫さまとなられた方で、天照大神さまや他の神話の神々と親交があり不思議の術を使うことができました。その力で様々な冒険をなさり、時には私も一緒に連れて行ってくれることもありました。


 ある時、天照大神さまを救うため、お姉さま、天照大神さま、私の3人で儀式を行い、天照大神さまは天に帰ってお姉さまは私と共に現代へと帰りました。そこで、どういうわけか私はお姉さまと姉妹の契りを結んだパートナーとなっていました。


 私が現代でお姉さまの世話をしているのはそういったわけなのです。


 ただ、帰ったはずの現代は実はお姉さまが知っている世界とは微妙に違うようでした。当初はかなり困惑していた様子でしたが、何が違うのかとお聞きしても詳しい話は教えていただけませんでしたが、以前から聞いていた話から想像するに性別が変わられたのも一因なのではないかと思います。


 それに加えて、何をやるにも注目を集めてしまうところにも居心地の悪さを感じているようでした。お姉さまの身体から溢れる魅力オーラを見れば、人々の注目を集めるのは仕方のないことではありますが、このように大勢に出迎えられるようになったのはここ最近のことで、そこに至るには様々な紆余曲折があったのです。


 話は現代に戻った翌日の朝に戻ります。



 「りゅ、龍珠りゅうじゅ学園って何?」

 「何をおっしゃっているんですか? お姉さまと私が今日から通う学校のことですよね」


 朝、私がお姉さまと私の2人分の朝食を用意していると、お姉さまが突然慌ててキッチンに入ってきました。余程慌てたのか、まだパジャマも着替えず、頭には寝癖が残っていてパンツが半分ずれたままの状態でした。


 「私が通ってた学校は白山高校だったはず……なん……あれ?」

 「何をおっしゃっているんですか? 今月からおじさまとおばさまが仕事の都合でヨーロッパに行かれて日本に残るお姉さまは私と2人で龍珠学園に編入することになったじゃありませんか」

 「そう言えばそうだった気もするわ……」


 平安時代の生まれの私が現代日本に生活したことなんてあるはずもないのですが、現代に来たときから平安時代での生活と現代での生活の2つの記憶が並行して存在するようになりました。龍珠学園に編入するというのは現代の方の記憶にあった予定なのです。


 「……これって現代に『帰った』って言っていいのかしら?」

 「どうしました?」

 「なんでもないわ。顔、洗ってくる」


 現代日本の食材には見たことのない物も多かったですが、平安時代でもお姉さまが熱心に現代の食事を再現なさるのを手伝っていたので、特に苦労はしませんでした。こうしてみると、お姉さまの不思議の術は現代の技術を再現していたものが多かったのだということがわかります。


 学校には制服と言うものを来て通います。制服は平安時代でいうところの小袖と袴をカラフルに染め上げたもので、現代では着物と呼ばれるものでした。着物を制服にしている学校は珍しく、この制服を着るために龍珠学園に通いたいと志願する人もいる人気の制服のようです。


 朝食を食べた私たちは徒歩で学園へと出かけました。公式の外出は牛車が主だったことを考えると、伴も連れず徒歩で気軽に出かける現代の習慣には少しだけ戸惑いがあります。


 「中にいたときからうすうす感じてはいたけど、一体どんだけ広いの、この家は!?」


 玄関を出て門までの()石畳を歩いていると、お姉さまが突然叫びだしました。


 「そうですか? 前の家に比べると少々狭いかと思いますが」

 「平安時代と一緒にしちゃだめ!」


 お姉さまはそう言いますが、お姉さまの格を考えるとこの家では少し見劣りするように思います。ただ、お姉さまのそういう謙虚なところも素敵だと思います。


 「いい、雪。ここは現代なの。私たちは現代に来たのよ。いつまでも平安時代気分でいたら怪我するわ」

 「はははー、心配性だな、姫ちゃんは」


 突然、私の口が私の意思とは無関係にしゃべり始めました。これは私の体に憑依している天照大神さまの依代よりしろさまが私の口を勝手に使ってしゃべっています。天照大神さまを助ける儀式で、古いご神体となられていた方の魂の受け入れ先として私の体を提供したのです。


 この方のことは、以前は天照さまとお呼びしていましたが、現代に来てからはてんさまとお呼びしています。今の私の名前が天宮雪乃てんぐうゆきのですので、事情を知らない人が聞いても違和感がないようにとの配慮だとのことです。

いかがでしたか?


第1話の公開は11月1日午前7時を予定しています。初日は2話同時投稿、その後は毎日1話ずつ公開の予定です。


どうぞお楽しみ下さい。

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