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参百伍拾伍.執着心

 月はないけど、団子を食べて芋を食べてお酒を飲んですせり姫の伴奏に合わせて歌を歌っていると、肌が焼けそうなほどに神力が高まってきた。


 大国主(天照さまの結界が緩んで神力が流れ込んで来たのです。この神力を使って天照さまを雪さんに憑依させ、かぐや姫さんたちを現代に……)

 月☆読(そんなことはさせません)


 その声にはっと頭上を見上げると、月☆読が上空からこちらに向かって急降下してきた。


 大国主(結界の強度を上げます)


 そう言って大国主が何か念じ、月☆読の突撃は空中で何かに阻まれるように止まった。


 しかし、月☆読もそれで終わるわけもなく、そこから一歩もひかずに結界を押し返そうとしてきた。


 天照『ぐっ、はー、はー』

 雪「天照さま」


 振り返ると、ぐらりと倒れそうになった天照の体を雪が支えていた。天照の額からは滝のように汗が流れている。


 すせり(結界が緩んで流れ出た神力が天照さまに流れ込んでいるのよ)

 俺「じゃあ、このままじゃ天照は」

 すせり(膨大な神力に耐えきれずに、人格が押し流されてしまいます)

 俺「っ、大国主」


 大国主はというと、必死に何かを念じ続けている。おそらく、上空で月☆読が破ろうとしている結界を維持し続けているのだ。


 武甕槌たちの姿を探すと、さらに上空で神兵たちを抑えるので手いっぱいだった。いくら単体の能力に差があっても数が違いすぎる。


 俺「私が」

 すせり(だめです。今、かぐや姫さまが動いたら儀式が途中で失敗して天照さまも助かりません)

 俺「だけど」


 天照の方を見ると、苦悶に顔をゆがめて荒い息を繰り返していた。


 天照『ふー、ふー』

 雪「天照さま、頑張ってください。天照さま」


 それを雪が脇から抱え、時折不随意に動く天照の体を押さえつけて、天照の意識が消えないように必死に呼びかけていた。


 月☆読(そこをどきなさい、大国主。お姉さまは渡しません)

 大国主(くっ)


 天照の結界から流れ出る神力を流用しているにもかかわらず、大国主の結界は徐々に月☆読に押されつつあるようだった。恐るべき執着心。


 しかし、このままでは儀式が進められず、天照が死んでしまう。でも、俺が飛び出すわけにもいかない。どうしたらいいんだ。

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