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参百肆拾漆.ラマーズ法

 帝「あ、あなたは……」

 天照『今は皇子の誕生の時だ。貴様はそこでおとなしく見ているがいい』


 言うや否や、帝の体は急に重力がかかったように腹這いに床に倒れて、縫い付けられたように動かなくなった。


 帝は何か話そうと口をパクパクさせるが、声も封じられた様子でかすれ声すら出せない。


 中宮「んー、んー」

 俺「中宮さま、力を抜いて、口で息をして。ふー、ふー」

 中宮「ふー、ふー」


 出産なんてしたことのない俺だが、どうやらこの体に設定されたカンストパラメーターが出産という肉体的な危機を乗り越えるための術を理解しているらしく、中宮の状況を的確に理解して助けてあげることができる。


 今の中宮は体に力が入りすぎて全身でいきんで息を止めてしまっているので、声をかけて呼吸に意識を戻させた。


 俺「息を吐きながら力を入れて。ひっひっふーーー」

 中宮「ひっひっふーーーんんっ」

 俺「ひっひっふーーー」

 中宮「ひっひっふーーーんんっ」


 やってみて思ったけど、これは出産する方も大変だけど、介助する方もわりと大変だ。テンションを上げないとついていけない。


 ちなみに、もちろんラマーズ法は平安時代にはない。


 天照『あ、顔が出てきた』

 俺「天照、お願い。中宮さま、もういいですよ」


 頭が出たら、後は引っかかるところはないのでいきむ必要はない。自然に出るので赤ちゃんが落っこちないように受け止めてあげればいいだけだ。


 天照『よいしょ。おっと、よしよし』

 人形「おぎゃー、おぎゃー」


 天照が受け取ると、人形はまるで本物の赤ちゃんのように泣き出した。相変わらず無駄によくできてる。


 さすがにへその緒や胎盤までは再現していないので赤ちゃんが出たら終わりだけど、えらくリアリティのある疑似出産体験だった。


 と考えていると、赤ちゃんの泣き声がいつの間にか止んでいた。


 人形「あー、うー」


 見ると、赤ちゃんははいはいして喃語なんごを話している。


 天照『汝、真の皇子なれば、この場にてその資格を示せ』


 いかにも神様といった様子で(本当に神様なんだけど)赤ちゃんにそう語りかけると、赤ちゃんはよたよたと立ち上がって天照に向き合った。

ブログで告知したように、ゴールデンウィーク中の更新はありません。次回更新は5月8日(金)になる予定です。よろしくお願いします。

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