参百肆拾参.Noooooooo!!!!
そうだ。中宮のお腹の子がいた。あの子が次期天皇だっていう強烈な暗示を植え付けてやれば、明子の入内を取りやめさせられるんじゃないか。
俺『よし。じゃあ、こんな感じの段取りで行こう』
そう言って俺は天照に今考えた計画を説明し始めた。
天照『じゃ、結界、解除するよ。……解除完了!』
月☆読(お姉さまーーー!!!)
天照が結界を解除すると同時に騒々しい声が響いて月☆読が飛び込んできた。どうやら気絶から回復した後、結界の外で天照のことをずっと待っていたようだ。
天照『月☆読、うるさい』
突進する月☆読に天照が出足払いを掛けると、勢いの乗った月☆読はそのまま滑って転がって柱の角に頭をぶつけて頭を抱えてうずくまった。
天照『姫ちゃん、行こ』
月☆読(お待ちください、お姉さま。何をしに行かれるのですか?)
天照『それは月☆読には関係ないんだよ』
月☆読(はっ。なぜ、そのようになれなれしく手を組まれて……)
月☆読は驚愕の表情で目を見開いた。天照が俺の腕に腕をからませて体を密着させて立っているのにようやく気付いたようだ。
天照『だって、あたしと姫ちゃんはもう他人じゃないんだもんね』
月☆読(他人じゃない。ということは……Noooooooo!!!!)
なぜか日本の神話の神なのに外国人のような身振りで絶叫する月☆読。
というか、天照、わざと誤解をさせて楽しんでるだろ。
月☆読(かぐや姫っ! 一体、お姉さまに何をしたっ!!!)
天照は楽しいかもしれないけど、俺にとばっちりが飛んでくるんだから止めてほしいんだけど。
俺『いや、別に何も……』
天照『すごかったわ。もう、あたし、姫ちゃんなしじゃ生きられない身体になっちゃった』
俺『えええっっ』
月☆読(貴様ーーー!!!)
天照『はーい。そこまで。月☆読はもうちょっと寝ててね』
そう言って天照が指をぱちんと鳴らすと、糸が切れたように月☆読が崩れて寝息を立て始めた。
俺『ええっ。なんで、こんなことができるのならいつも何で逃げ回ってるのさ?』
天照『んー。暇つぶし?』
今まで天照は月☆読には頭が上がらないのかと思っていたけれど、それは全くの誤解だったということが判明した瞬間だった。
天照『いや、さすがに毎回眠らせてたら、月☆読も対抗策とか考えちゃうから。いつも使ってないから、今あっさり眠ってくれたわけで』
と言っているが、どうせ対抗策を考えられてもその上を行く対抗策の対抗策くらい簡単に作れそうな気がするので、全く言っていることに信用がない。
天照(さ、とっとと用事を済ませて姫ちゃんといちゃいちゃしちゃおー)
今回の更新は長めでしたが、ここでストックは打ち切りで、またいつものようにしばらくお休みに入ります。
それにしても長い連載でしたが、ようやくゴールが見えてきました。もうしばらく頑張りますので最後までお付き合いくださいませ。