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参百廿弐.眷属

 俺「仕事の調子はどう?」

 武甕槌(天児屋が来てくれて随分助かっている)

 俺「それはよかったわ。武甕槌は行かなくていいの?」

 武甕槌(一応、客をもてなすのも仕事の1つだ)

 俺「あら。それじゃあんまり長居すると迷惑ね」

 武甕槌(大丈夫。もともとこの時間は天児屋の仕事を指導する時間だったのだからな)


 そう言って、武甕槌は俺の対面に腰を降ろして手ずから急須を取った。


 俺「あら、私がやりますのに」

 武甕槌(いや、いい)


 新しい湯のみを取って渡してあげると、武甕槌はそこにお茶を淹れて一息に飲み干した。


 武甕槌(天照様はどうだった?)

 俺「一応、同意してくれました」

 武甕槌(一応?)

 俺「いえ、大したことではないですわ。大丈夫です」


 天照からキスをせがまれたとか、いざキスをしようとしたら怒られたとか、武甕槌に暴露するようなことじゃないよね。


 武甕槌(そうか。月詠様の方はどうにも取り付く島もないようすだ。これはやはり計画通り進めるしかないようだ)

 俺「そうですか。仕方ないですわね。そう言えば、スサノオの方には誰か連絡は行っているのかしら」

 武甕槌(それは分からない。かぐや姫の方で連絡はしていないのか?)

 俺(う。後で大国主に確認しておくわ)


 スサノオは天照の件が片付いたら地上の管理に協力してくれると言っているが、今回のクーデターの計画はまだ話していない。クーデターとは直接関係しないが、一応話を通しておいたほうがいいだろう。


 連絡役は俺が行くか、あるいはすせり姫に行ってもらえばいいんじゃないだろうか。


 俺「ところで、一つ疑問があるんですけど」

 武甕槌(なんだ?)

 俺「神様の世界の人事異動って、地上の人間の生活に影響はないんですか?」

 武甕槌(もちろんある。今でも天照様の神力が強くなったせいで人間世界に混乱が生じている)

 俺「ということは、大国主が倒れただけじゃなく、武甕槌が高天原に異動したら」

 武甕槌(人間世界は相当な混乱になるだろうな。もしかしたら戦乱になるかもしれない)

 俺「ええっ」


 ちょ、それ聞いてないよっ。すごい大事なことなのに、なんで誰も言ってくれなかったのさ!


 俺「戦乱になるって誰と誰が戦うって言うの?」

 武甕槌(人間界の覇権は地上に最も影響力を及ぼしている神と縁の深いものの手に渡る。これまでは私と大国主の2柱がバランスをとっている形だった)

 俺「ということは、今後は武甕槌と大国主の影響力が薄れて、雨とスサノオとイッチーたちの影響力が強くなるから」

 武甕槌(その神々の縁者が覇権を取るはずだ。ただ、旧勢力は当然その流れに抵抗するから、場合によっては力づくで覇権を奪い取ることになる)


 今の朝廷で武甕槌と大国主の加護を受けてるのって誰だっけ? たしか、右大臣が大国主だったな。大国主が倒れた時に右大臣も一緒に倒れてたはずだ。


 それから、権大納言が雨の加護を持ってるって言ってた気がするな。ということは、彼は今後も順調に出世していくんだな。次期天皇の外戚にもなりそうだし、もうアゲアゲだね。


 あれ、武甕槌の加護を持ってるのは誰だろう。なんか、嫌な予感がするけど…………

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