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参百拾参.誠心誠意

 雨が飛びかかって言霊の小瓶を奪い取ろうとするが、俺はひらりと躱して取らせない。


 雨(えいっ、やあっ)

 俺「ひょい、ひょいっ」


 雨はしつこく手を伸ばしてくるが、俺はそれを軽々と躱すだけで一向に手が届く気配はない。


 空「ね、雪さん、言霊を取られるとどうなるの?」

 雪「分かりません」

 俺「言霊を取られちゃうとね、その言葉に逆らったり撤回したりすることが絶対にできなくなるんだよ」


 雨の攻撃を躱している最中だが、空と雪の疑問に答えてあげた。普段からごろごろニート生活しか送っていない雨の攻撃なんて寝てたって避けられるんだよ。


 ちなみに、この言霊を取って仕事をさせるという案を考えたのは俺じゃなくて大国主だ。言霊を封じ込める小瓶もその時貸してくれた。黒い大国主の面目躍如だな、全く。


 俺「もう諦めて仕事しなよ、雨」

 雨(ううー。仕事したくないでござる)

 俺「そんなこと言ってると、言霊を武甕槌に渡しちゃうよ」

 雨(それだけはやめてっ。仕事するからっ)

 俺「じゃあ、春日神社に行ってきな。ちゃんと仕事してたら言霊は返してあげるし、働き次第でご褒美も上げるわよ」

 雨(えっ、ご褒美ってどんな?)


 ご褒美といった途端に、濁っていた雨の目がきらきらと輝きだした。


 俺「そうね。3秒間だけ正面からハグしてあげるってのはどう?」

 雨(不肖天児屋、誠心誠意お勤めして参りますっ!!)


 そう言って、一人で空を飛んで春日神社に向かっていった。


 あいつは気持ちがこもってるとかこもってないとか、そんなことはこれっぽっちも気にしないよな。ただただ自分の欲望が満たされればそれでいいっていう態度がストレートで。


 天照とは本当に対照的だ。


 ……


 雪「かぐや姫さま?」

 俺「ん、どうしたの、雪?」

 雪「かぐや姫さまこそ、何をぼんやりなさっていらしたのですか?」

 俺「あ、ううん。なんでもないわ。それより、お爺さまとお婆さまとお話しないといけないわ」

 雪「はい。いつになさいますか?」

 俺「できるだけ早いほうがいいわね」

 雪「かしこまりました」


 そう言って、雪は部屋を退出していった。爺と婆の予定を確認しに行ったのだろう。


 爺と婆に会ったのは夜になってからだった。

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