参百玖.純潔
天照『んー、大したことはしてないよ。ちょっと指でつついたくらいじゃないかな』
俺『指でつついたぁーーーー!!』
天照『うひゃぁっ』
あの野郎、指でどこをつつきやがったんだ。あれか、それともあそこか、もしかしてあんなところじゃないだろうなっ。
天照『姫ちゃん、声、大きすぎだよ。耳がじんじんする』
俺『なんでそんなことをさせたんだっ』
天照『声、大きいって。だから加護を上げるためだよ。物理的にどこか触らないと加護が上げられないからね』
俺『で、どこを触ったんだ?』
天照『ほっぺただよ』
俺『ほっぺたぁぁぁーーー…………、ほっぺた?』
ほっぺたって、あのほっぺた?
天照『うん。あたしが抱っこして持ち上げて、別雷がほっぺたをちょんと』
俺『あのエロ爺がそれで満足したの』
天照『流石にあれでも赤ちゃんにセクハラするほど病んではいないよ。それに、前にあたしにセクハラした時に股ぐらを思いっきり蹴り上げたことがあるからそれで懲りたんじゃないかな』
待て。そんなことをしたらある特定の機能が不能になってしまうぞ。別にいいけど。
俺『じゃあ、俺の純潔は』
天照『大丈夫。姫ちゃんの純潔は転生する前から変わらずに守られてるよ』
ぎゃふん。天照さま、そんな暴露はしなくていいです。
雪「かぐや姫さま、お話を」
俺「そうでしたわ」
別雷のことで切れてる場合ではなかった。大事な話があったんだ。
俺『天照』
天照『何? 大国主に加護を貰った時も何もしてないから大丈夫だよ』
俺『お前はどうしてそういう危険な神ばかりチョイスしているんだ!』
雪「かぐや姫さま」
やばいやばい。また脱線するところだった。
俺『天照、なんかもう感づいているみたいだけど、今、お前に掛かっている同化の魔法と結界を解こうって話があるんだ』
天照『うん。知ってる』
俺『やっぱり。ちなみに、なんで知ってるの?』
天照『その話は前から何度も大国主が説明してたからね。今日、姫ちゃんと武甕槌が大国主と会ってるのを空から見て、それなんじゃないかなと思った』
流石に天照でも、大国主の屋敷の中で何を話しているかまではわからないか。あそこの結界は大国主が調整した特製だからな。
俺『じゃあ、話は早い。それで、同化の魔法を解いた後のお前の魂の受け入れ先を雪にしたらどうかって話してるんだ』
天照『そう来たか』
俺『ん?』
天照『てっきり姫ちゃんに取り憑くことになるのかと思ってたから』
雪「申し訳ありません。私がわがままを申してしまい……」
俺『いや、俺がそうしたほうがいいって思って決めたんだ』
雪が何か言おうとしたが、俺はそれを遮った。あれは雪に指摘されてのことだけど、俺のことを思ってのことでわがままなんかじゃないからだ。