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参百捌.超高齢化社会

 その夜、俺と雪は月が出るのを待って上賀茂神社へと向かった。もちろん、天照に会うためだ。会って天照自身の意向を確認しないといけない。


 俺たちの間で天照のことを勝手にあれこれ話し合っては見たものの、誰に憑依するかは本人の意向に反対して強行するような種類のことではないのだ。


 いや、そもそも天照が同化の魔法を解除することに反対したら、これまでの話は前提からひっくり返ってしまう。


 しかし、昼間は天照は空にいなければいけない上に、月が出ていない時は月☆読が天照に張り付いているので、夜になって月が上るまで本人の意向は確認できなかったのだ。


 天照『あっ、姫ちゃん、遅かったねっ』

 俺『うぉっ、なんで天照がいるの?』


 上賀茂神社の境内で天照が現れるのを待っていようと思ったら、なぜか今日に限って天照が境内で待ち伏せしていた。


 天照『何、その言い方。あたしがいたら良くないの』

 俺『い、いや、そういうわけじゃないけど』

 天照『姫ちゃんたちが何か企んでるみたいだったから、先回りして来ちゃったぞ』


 やっぱり天照は気づいてたか。ってことは、月☆読の方は大丈夫かな? あっちは武甕槌が対処してると思うけど。


 天照『月☆読は気づいてないと思うよ。今は大国主の後任探しで地上をのんびり観察してる余裕なんてなさそうだし』

 俺『勝手に心を読むな! で、そっちは見つかりそうなのかな?』

 天照『今更、高天原から葦原中国に降りて激務をこなしたいなんて思ってる神様なんて高天原にはいないよね。高位の神はみんな年金貰って隠居する気満々なのばっかだから』

 俺『うわぁ』


 なんか、高齢化社会が煮詰まってひどいことになってる感じだな。大国主が必要以上に激務になってた原因の一端はそっちにあるんじゃないか?


 そういえば神様の年金支給開始年齢は何歳なんだろう?


 天照『そうそう。天児屋の覚悟が決まったのなら、なるべく早く春日神社に帰してやったほうがいいよ。今まで杵築大社の方に行ってた案件まで春日神社に回ってきてて、大変なことになってるから』

 俺『分かった。伝えとくよ』


 そういえば、雨のやつ、武甕槌の後任になる件はOKでよかったのかな。まだちゃんと返事を聞いてなかった気がする。


 とりあえず、立ち話を続けるのもあれなので、神殿の縁側に腰を掛けた。雪は俺の隣に座らせる。


 ちなみに、ここは上賀茂神社の境内で神域の方ではない。ここの神域は神殿までの距離が長い上に途中にトラップがあったりして面倒だからだ。


 前に行った時は落とし穴に落ちちゃったからな。


 そう言えば、前に行った時のことといえば!


 俺『天照、今、俺は猛烈に怒っている』

 天照『え?』

 雪「かぐや姫さま?」


 あの時のことを思い出すとはらわたが煮えくり返る思いだよ!


 俺『どうしてあんなエロ爺の加護を俺に植え付けた!』

 天照『は?』

 俺『一体、俺は別雷の加護を貰うときに何をされたんだ』


 きっと俺が無抵抗なのをいいことにあんなことやこんなことやそんなことまでされたんだよっ!!

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