参百漆.ちゅう
大国主(で、何ですか?)
俺(俺の所に雪って人間の娘がいて、天照の加護を持っているんだけど、天照の人格の受け皿が雪でもいいかということを確認したくて)
大国主(加護の力が十分強ければ問題ないと思います。一度確かめさせてもらえますか)
俺(どうしたらいい? そっちに連れて行こうか?)
大国主(いえ、このまま長距離念話の回線を使って確認します。ちょっと雪さんとしっかり繋がってもらえますか?)
俺(えっ?)
しっかり繋がるってどうやったらいいんだ? 繋がる。繋がる。繋がる……。はっ、何をエロいことを考えているんだ俺は。
俺「雪、ちょっと私と「しっかり繋がって」みてもらえるかしら?」
雪「えっ?」
思いつかないから丸投げしてみた。
雪は少し悩む素振りを見せて、その後、俺の体に正面から抱きついてきた。確かにしっかり繋がってる感じがする。するんだけど……
顔が近い……。体が密着して体温が夏服越しにダイレクトに伝わってくる……。ドキドキする……。
雪「こ、これでいかがでしょうか」
俺「う、うん。いいんじゃないかな」
しゃべるとほとんどお互いの顔に息が吹きかかるくらいの距離。いい匂いで頭がくらくらしてくる。
俺「雪……」
雪「かぐやひ……んっ」
次の瞬間、無意識に目の前にあった唇に自分の唇を重ねていた。雪も抵抗せず、俺を抱きしめる手の力を緩めようとはしない。
大国主(かぐや姫さん)
ビクッ
慌てて離れる俺と雪。
大国主(大丈夫ですよ。確認できました)
俺(そ、そう。で、どうだった?)
大国主(問題ありません)
俺(じゃあ、天照の依り代は雪で行こう。天照とは今晩にでも話をしておく)
大国主(お願いします)
俺(それから俺と雪が現代に帰る件は)
大国主(そっちは大丈夫です)
俺(そっか。じゃ、そういうことで、よろしく)
大国主との念話を切って、改めて雪に視線を向ける。雪は唇を指で触ったまま、まだぼーっとしているようだ。
俺「あ、ゆ、雪……」
雨(はーい、はい、はいっ。次は僕の番がいいと思いますっ)
俺「あなたはちょっと黙っててっ!」
雨(ぷぎゃっ)
雪「あ、はい。かぐや姫さま」
俺「この先、何があっても、絶対一緒だから」
雪「はい。どうぞ、よろしくお願いします」
月曜日は祝日なので次の更新は水曜日です。