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弐百玖拾漆.目的外利用

 俺(もしもし)


 俺は大国主に対して長距離念話を繋げた。大国主は一応、俺の使い魔ということになっているので長距離念話を使えるのだ。


 ただ、寝込んでいるという事なので繋がるかどうか心配だったけど、繋がったということは今は大国主の意識ははっきりしているのだろう。


 大国主(かぐや姫さん)


 返して来た返事に力はない。やはり意識はあっても身体の調子は悪そうだ。


 俺(体調はどう?)

 大国主(ちょっとまだ体を起こすのは無理です)

 俺(無理しなくていいよ)

 大国主(後任の件でかぐや姫さんにも迷惑を掛けたみたいですね)

 俺(まあ、あれは本当は雨が骨折らなきゃいけないところだったんだから。使い魔が役に立たなきゃ主人の俺が手を出すしかないよ)


 本当に雨の奴はこういう肝心なときに逃げやがって。


 俺(ところで、結界から漏れた神力のせいで天照の影響力が強くなりすぎて世界の秩序を乱していることを武甕槌が心配しているんだけど、その話は聞いた?)

 大国主(いや、聞いていません)

 俺(そうか。まあ、大国主が倒れる直前の事だったから入れ違いになったのかな。とにかく、最近、武甕槌がそういう心配をしていたんだけど、その関連で、今さっき俺が皇太子になることが決まっちゃったみたいなんだよ)

 大国主(まあ、そういう事もありえるでしょうね)

 俺(大国主は驚かないのか?)


 あまり驚かない大国主の態度に、逆に俺の方が驚いた。


 大国主(まあ、そんな事は大した事じゃないですから)

 俺(いや、大した事だって)

 大国主(問題は神力が結界から漏れてる事じゃないんですよ。むしろ漏れなさすぎることなんです)

 俺(えっと、一体、何の話をしてるんだ?)

 大国主(天照さまが結界に閉じ込められてから、太陽から供給される神力は結界内に溜まり続けているんです。何百年も)


 そういえば、神様だった方の天照が太陽神になったのは、膨大な神力を得るためだったと言っていた。その神力は結界に閉じ込められた後も供給されつづけているのか。全く使われることなく!?


 大国主(蓄積された神力はいつか結界の許容限界を越えます。そうなったら、溜まりに溜まった神力が一気に外に放出されて、高天原は一瞬の内に焼き尽くされます)

 俺(ええっ!)

 大国主(だから僕は、神力が溜まる速度を緩やかにするために、随分前にこっそり結界に細工して少しずつ結界から神力が漏れ出すような仕掛けを作っておいたんです。

 天照さまはその神力の漏れを使って結界の外に分身を作ったんですよ)

 俺(そんなことが)


 それって何百年前の話だよ。そんな昔からそんなことを考えてたのか。


 大国主(それと、天照さまの神力の未来予測を立てるために時間転移魔法を開発して見たのですが、困ったことに、結界が破裂寸前に至っていると予想した時期の未来を覗いてみると予想外のことが起きていまして)

 俺(それは?)

 大国主(天照さまがどこにもいなかったんですよ)

 俺(どういうこと?)

 大国主(そのままです。影も形も消えていました)

 俺(もう、結界が破れた後だったとかは?)

 大国主(予想通り破裂したなら高天原はただでは済まないはずです。しかし、もともと結界があったはずの場所にはもう何もありませんでした)

 俺(誰かが結界を解いたってこと?)

 大国主(それも含めて全く分かりません)


 てっきり時間転移魔法は大国主のオタク趣味が高じてやらかしたのかと思っていたけど、本来はもっと高尚な目的があったんだな。


 で、その後、目的を見失ったと。

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