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弐百玖拾伍.親王宣下

 俺「これは確かに私のことを言ってるみたいだわ。でも、『いしのうえ』というのは……?」

 明子「権大納言さまです」


 「みたい」だとか、自分で書いておいて白々しいな。でも、これで明子に権大納言のことを認めさせることができた。


 俺「え、本当なの!?」


 設定上は私はこのことは初めて聞いたってことだから、初めての聞いたらしく驚いたリアクションを取らないと!


 明子「本当なんです」

 俺「でも、それって関白さまには……言えないんだね」

 明子「はい」


 と、その時、爺たちの世話をしている女房が急な用事とのことで来た。そこで、とりあえず雪に話を聞いてくるように向かわせた。


 俺「権大納言さまには伝えたの?」

 明子「いえ。そんなことをして万一の事になったら」

 俺「そうだよね。じゃあ、これはまだ明子の胸の内だけで誰にも話したことはないんだ」

 明子「はい。かぐや姫さんと雪さんと空さんだけです」

 俺「明子はこのままでいいの?」

 明子「よくありません。でも、どうしようもありませんから。……竹仁さまに連れ去られれば、もしかしたら変わるかもしれませんが」


 明子の現状破壊願望は依然として強いようだ。


 竹仁は無理だが、最悪、俺が明子を攫うことだってできる。でも、武甕槌の懸念を出すまでもなく、それは最終手段だ。


 俺「関白さまの縁者で他に候補はいないのかしら。女御にょうごになれる栄誉を考えれば嫌がる人ばかりじゃないと思うけど」

 明子「帝に釣り合う年齢でという範囲では他にはいないのです」

 俺「そうですか」


 選択肢がないから、是が非でも明子を、ということなのか。


 これから生まれてくる子の正室を関白の娘にって言っても、そんなの先の話だし、それを決めるのは権大納言になってるしな。


 俺「難しいわね」

 雪「かぐや姫さま」


 頭をひねっているところへさっき呼ばれて出ていった雪が戻ってきた。


 俺「どうしたのかしら?」

 雪「ご当主さまからご伝言がありまして、帝がかぐや姫さまに親王宣下をして即座に立太子をさせる意向をお示しになられたそうです」

 俺「は???」


 親王宣下して立太子って、俺が皇太子になってこと? 次期天皇? なんで? そもそも天皇家の係累じゃないのに親王宣下なんてできるの?


 明子「おめでとうございます!」

 俺「ええっと、あの、話の流れが読めないんだけど、雪、説明して下さる?」

 雪「はい。あの、さきほど聞いたばかりですので詳しいことは分からないのですが……」


 俺は絶賛大混乱中なのだが、説明する雪の方も何がなんだか分からないという様子で恐る恐る話し始めた。

金曜日は夏休みのため更新をお休みします。次は月曜日です。よろしくお願いします。

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