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弐百捌拾玖.ピンポンダッシュ

 その道は抜け道にふさわしく屋敷の脇の方に繋がっていたので、正面に回り玄関に立ってすせり姫がドアをノックをした。


 ドンドンドンドンドンドンドンドンッ


 ちょ、すせり姫、それ叩きすぎ。


 と思ったのもつかの間、一瞬の隙を突いて何者かにお腹の辺りを抱えられて木陰に強引に連れ込まれた。


 俺「すせり姫、何するんですか」

 すせり(ピンポンダッシュ)

 俺『なんでやねんっ』


 その瞬間、俺は大事なことを思い出した。雨を玄関に置きっぱなしだ。


 恐る恐る木陰から顔を出して伺ってみると、開け放たれた玄関の前には仁王立ちしたスサノオと腰が抜けそうな雨が向かい合って立っていた。


 スサノオ(なんだ、貴様)

 雨(ぼ、ぼ、ぼ、僕は、あ、あや、怪しいもんじゃ、ないんだな)


 怪しすぎるーーっ。


 すせり(これは面白い展開になってきました。スサノオ対天児屋。神代の神々の直接対決はどちらが制するのか。実況は私、すせり姫、解説はかぐや姫でお伝えします)

 俺「無理無理。雨、死んじゃう」


 実況中継とかしてる場合じゃないし。


 すせり(大丈夫。死んでも根の国に復活するだけだから)

 俺「あ、そっか」

 雨(そっか、じゃなーいっ)


 あ、聞こえてたみたい。


 スサノオ(すせりっ)

 すせり(お父様っ)


 スサノオが呼びかけると、さっきまでふざけていたすせり姫が勢い良く走り出してスサノオの腕の中へと飛び込んだ。


 感動の父娘の再開シーンのはずなんだけど、なぜか犯罪っぽい絵面にしか見えないのは気のせいか?


 身長が低くて胸もないお子様体型のすせり姫を、強面でガチムチマッチョなスサノオが抱え上げる図は、命の危険という意味ですぐにでも救出したい気持ちにさせる。


 まあ、キモオタデブの大国主の隣にすせり姫がいる図も、別の意味で犯罪にしか見えないけど。


 スサノオ(道に迷わなかったか?)

 すせり(近道したから大丈夫だよっ)

 スサノオ(そっちにいるかぐや姫も一緒に来るといい。話は中で聞こう)


 スサノオに促されて俺と雨も屋敷へと入った。


 それはそうと、そういう雰囲気にならなかったから突っ込むタイミングを逃したんだけど、前来た時にスサノオの屋敷の玄関から道路が伸びていたような気がするけど、あれはどうしたんだろう?


 後、現在進行形で風化していってるからわかりにくいんだけど、屋敷の向こうの方に何か大きなものを引き摺ったような後が続いているのは、一体何を引き摺ったんだろうね。

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