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弐百捌拾捌.抜け道

 閑話休題。


 すせり姫のネタのためだけに大幅に時間をロスしてしまった。


 しかし、そこは勝手知ったるすせり姫の故郷。抜け道を教えてあげるよ、とスタスタと歩くすせり姫を、雨を引き摺りながら追いかけた。


 それにしても、抜け道も何も刻一刻と景色を帰る根の国に定まった道なんて存在しないんじゃないかと思うんだけど……。


 すせり(あそこまで行ったら、あの木を左に曲がるんだよ)

 俺「さっきからあの木がどんどん逃げて行ってるんですけど!」


 絶対、違うから。その覚え方、絶対道に迷っちゃうから!!


 なんか、すせり姫が道を覚えてたんじゃなくて、スサノオが必死にフォローしてただけのような気がしてきた。


 すせり(追いかけるよ)

 俺「ええっ!」


 あっという間に走っていくすせり姫。こんな所に置いてかれたら前回の二の舞いだよ。


 俺「雨っ!」

 雨(なんで僕がこんな目に)

 俺「つべこべ言わずに走って」


 というか、すせり姫、足元の小石とか草とかまで歩き回ってるのによくあんな速度で走れるな。足元を見てないからさっきから変なものを踏んでは転びそうになってるんだけど。


 でも、目印となってる木が動いているということは、すせり姫からあまり離れてしまうと木のところを曲がってももう全然違う所になっていたなんてこともありえるわけで、すせり姫に離されるわけにはいかない。


 俺「雨、もっと速く走って」

 雨(無理ーー)

 すせり(かぐや姫さーん)


 前の方ですせり姫の呼ぶ声がするので顔を上げると、例の見慣れた草のつるが巻き付いて歩き回る木の動きを止めていた。


 すせり(捕まえたよ)


 なるほど。例の草はこういう使い方もあるのか。って、それでいいんかいっ!


 ようやくすせり姫に追いついて3人で目印の木を左に曲がって少し歩くと、歩き回る木の向こうに大きなロッジが見えてきた。いつか見たスサノオの屋敷だ。


 雨(ほんとに着いたよ)


 いや、本当に着いちゃったよ。あんないい加減な道順でよく着いたな。てっきりどこかでスサノオが迎えに来るんだと思ってた。

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