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弐百捌拾漆.ロシアンルーレット

 俺「はいはい。早く行ってよ。後が使えてるんだから」


 そして俺も根の国再入国。また来ることがあるなんて思っても見なかったな。


 すせり(じゃあ、まずこの辺でランチにしましょうか)


 そう言ったすせりはいつの間にか手頃なスペースにレジャーシートを敷いてランチボックスを開いていた。中身はさすがにサンドイッチではなかったが、ライスバーガー的なものが詰め込まれていた。


 っていうか、いつそれ作ったの!?


 俺「すせり姫、今はそんな時じゃないと思うのですけど」

 すせり(んー。やっぱり関西弁の方が雰囲気あるわねー。ね、『なんでやねん』って言ってみて)

 俺『なんでやねんっ!』


 突っ込みを入れた瞬間に目の奥に鋭い光を見せつつ薄くにやりと笑うすせり姫。この人、このネタのためだけにわざわざライスバーガーまで仕込んだのか。


 とはいえ、よく考えると朝から何も食べてないし、お腹が空いていたので折角だからとレジャーシートに同席して早速ライスバーガーを食べることにした。


 すせり(さすがかぐや姫さん。根の国まで来ても動じないわね)

 俺「え? そうかしら?」


 手づかみでライスバーガーを食べながら答える俺。


 雨(ご主人さまー。これほどいてよ。帰りたいよー)


 雨はさっきからなんとか手首に巻き付いた草のつるを解こうと頑張っているが、一向に解けないので泣きべそをかいている。というか、これが解けないのは何度も体験済みのはずなのに往生際が悪いな。


 俺「雨も食べる? 美味しいよ」

 雨(そんなの喉も通らないよっ)

 俺「そう? 美味しいのに。じゃ、雨の分も食べちゃっていい?」

 雨(ダメッ。残しといてっ)


 やっぱり食べるんじゃん。


 俺「嫌。食べちゃおっと」

 雨(ダメーッ)

 俺「あっ」


 ちょっと意地悪を言うと、慌てた雨が頭からダイブしてきて空中で俺の手にあるライスバーガーにかぶりついて奪っていった。


 俺「ちょっと、それ、私の食べかけ!」

 雨(うほっ、ごしゅひんはまとはんふぇすひす?)


 ま、いっか。一口かじってなんか嫌な予感がしたから雨のやつとこっそり交換しておこうと思ってたんだよね。間接キスとか言って喜んでるけど、大丈夫かな?


 雨(ひーっ。あ、な、な、何これぇっ)

 すせり(天児屋くん、大当たりっ)

 雨(舌が。舌がー)


 雨の反応を見るに、あれだけ激辛ライスバーガーになっていたんだろう。どれだけネタを仕込めば気が済むんだ。


 ため息をつきつつ、雨に取られた分のライスバーガーを取り戻すべく、バスケットからライスバーガーをもう一つ取り出してかぶりついた俺。


 俺「え? あ、ちょ、これ、まさか……」

 すせり(あ、かぐや姫さんも大当たりっ)

 俺「辛いーーーーっ」


 くそぉっ。2つも仕込んでいたなんて!

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